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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第六十七話 魔術師の覚悟
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部屋の窓をノックする。

 するとすぐにカーテンが開き、リンディさんが顔をのぞかせる。
 俺を確認すると開けられる窓。

「すみません。こんな形で来訪して」
「いいのよ。なのはさんやフェイトには聞かせにくい事なんでしょう?
 さ、入って」

 俺の内心を察してくれて部屋に招き入れてくれるリンディさん。

「そこに座って」

 もっとも俺が訪ねた部屋がリンディさんの寝室という事もあり、部屋にあるのはベットと机と椅子が一組。
 俺が椅子に腰かけ、リンディさんがベットに腰掛ける。

「話というのはあの仮面の姿をしていた者たちの事でいいのかしら?」
「ええ、映像で見ていたなら知っているとは思いますが、アレは変身魔法で姿を変えた女です。
 そして、あの女の脇腹には今も傷がそのままあります」
「なぜそう言い切れるの?」
「あの女を切り裂いた短槍の銘は『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』。
 あの槍で受けた傷は槍を破壊するか、所有者である私を殺さない限り治癒する事はありません」

 槍の効果を聞き、驚きに目を丸くする。

「なんでそんな武器を?
 士郎君の中には他にも武器はあるのでしょう?」
「ありますが、あの者は慎重だ。
 あの場で仕留められずに逃げられる可能性があった。
 それならば今後も足枷となる武器の方が理想でしたから」
「確かに否定できないわ。
 でもそれは」
「なのは達には血生臭すぎる」

 戦い方としては先を考えて間違っていない。
 だが捕まえるためではなく、どちらかといえば仕留めるための手段だ。

 そして、なのは達のように真正面からぶつかり合い、真っ直ぐ前に進もうとする彼女達にはまだ早いともいえる。
 だが魔導師とはいえ彼女達もいつかは命のやり取りをすることはあるだろう。
 それまでは血は俺が浴びればいい。
 彼女達がそれを受け入れる事が出来るまでは

「なのはさん達もそうですけど、士郎君もよ。
 手を血に染めるような事は」
「ありがとうございます」

 リンディさんの言葉はうれしい。
 だけど受け入れる事はできない。

「リンディさんの言葉も気持ちもうれしく思います。
 ですが俺は大丈夫です」

 管理局も一枚岩ではない。
 だが組織全体としては魔術協会や聖堂教会に比べればよっぽどまっとうなのだ。
 その中でリンディさんにはよくしてもらっているのだから、これ以上守られ、俺が足枷になるわけにはいかない。

 俺の大丈夫という言葉に何か言いたそうなリンディさん。
 そんなふうに心配される事にどこかくすぐったいような感じがする。
 母親というのはこういうものだろうか?
 だからだろうか

「魔術師は殺し殺される覚悟を持っています。
 そして
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