§小ネタ集part3
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乳を混ぜてコーンポタージュを作り、よく混ぜる。香ばしい香りが廊下を伝って室内まで漂う。
「めっきり寂しくなりましたねぇ」
一人と一匹に戻った部屋の中。主に作らせたコーンポタージュを飲みながらエルはしみじみと呟いた。今まで部屋を明るくしていた少女は、謹慎処分を受けて自宅へ引きこもっている。
「ま、すぐに戻ってくるさ。スサノオもそんなコト言ってた気もするし」
しとしとと降る雨を眺めながら、黎斗は「はふ」と息を吐く。猫舌な彼にはこのコーンポタージュは少々熱い。はふはふ言いながら飲んでいる間に携帯電話の充電が終わったらしい。赤いランプが消えていることを確認し、充電に使っていた雷龍を消去する。携帯電話を開こうかとしばし逡巡したのち、パタンと閉じた。
「ん……」
「マスター、能力の無駄遣いですよ。いくら制限がないからって言っても……」
充電の為にわざわざ龍を具現化させる黎斗を見て、エルが苦言を呈してくる。
「はいはい」
完全に心ここに在らずといった風な返事で、今度は別の雷龍がお皿を持ってくる。机の上に乗せたあと、消滅。お皿の中身はレトルトのグラタンだ。今日の昼食でもある。ちなみに朝食はレトルトカレーで昨夜の夕食はカップラーメン。食べた後食器はそのままに立ち上がる。エルの真横を通り過ぎ、予め敷いてある布団に倒れ込む。ぼふっという気の抜けた音と共に彼の姿は掛布団に埋もれて見えなくなった。雷龍が一匹、栄養ドリンクを持ってくる。それを受け取った黎斗は寝転がりながら零さず飲んだ。器用な芸当だが、これは才能の無駄遣いだとエルは思う。
「ダメですこのマスター、早くなんとかしないと…… このままでは引きこもりのダメ魔王に戻ってしまう……」
恵那さんとっとと戻ってきてー、とウロチョロする狐を見やることなく黎斗は布団の上から空を再び見上げた。どんよりとした鉛色の雲が辺り一面を覆っていて、見ているだけで気分が下がる。どうやら今日は一日中雨になりそうだ。
「……ってことがあったんですよー」
自慢げに話すキツネがいるが知らないフリ。興味津々に聞く巫女様もいらしゃるが知らないフリ。だってしょうがないではないか。謹慎場所が「清秋院本家」から「黎斗の家」に変更になると誰が推測できよう。最後の最後に大ポカをやらかしてしまった。
「えへへ。恵那が居ないとダメ、って言われるのって悪くないねー」
「二人ともだまらっしゃい!!」
頭痛を覚えて黎斗は頭を抱え込む。恵那が居ないときの堕落っぷりをエルが恵那に教えてしまったものだからさあ大変。二人のニヤニヤする視線が痛い痛い……!!
「別に、他意は、ありません!!」
一言一言区切って強調する黎斗だが、それは彼女たちを愉しませるこ
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