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魔王の友を持つ魔王
§小ネタ集part3
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とまってれ。水遣り終わったら探してくるから」

「あ、いいっスよ、水羽さん。自分がやっとくんで、ちゃちゃとガキどもの要望叶えてやってください」

 金髪グラサンピアスに、金属をじゃらじゃら言わせながら学生服を着崩す男が黎斗の手にあるホースを奪う。この男。チンピラのような外見とは裏腹に実はすごく子供思いだったりする。不良が雨の中濡れる子猫を救う話と似ていて黎斗としては微笑ましい。本人は断じて認めようとしないが。ちなみに彼とのファーストコンタクトは彼がタバコをポイ捨てしたことに黎斗がキレたことだ。いかに不良ぶっていても黎斗の殺気に耐えられるわけもなく。あっという間に改心への道を辿った少年はこの施設で放課後を過ごしている。なお、黎斗が殺気まで放ってキレたのはタバコが直撃した雑草達が黎斗に助けを求めたからなのだが、当然そんな事を他の人は知る由も無い。雑草は数が多いから助けを求められると大変なのだ。オマケに集団だから非常にやかましい。そして無視をすれば根に持つ。草だけに。だから、彼らの悩みは早々解決するに限るのだ。学校のグラウンドの雑草抜き、のように協力できない場面も多いけど。
 兎にも角にもそんな事が多発すれば「城南学院に、タバコのポイ捨てにガチギレする変人がいる」などという噂が立つのは必然のことだった。ちなみに彼は当時の事を「死ぬかと思ったっすよ。マジで。水羽さんに睨まれた後だとセンパイとか全然怖くないっすね。なんかバカらしくなってつるむの、やめました」などと振り返る。このことが不良業界(?)に激震をもたらすのだが、それは余談である。

「あ、いい? さんきゅー。じゃあいってきまーす」

「あ、自分の要望はこの前のキツネで」

「お前もか……」

 苦笑しながら自転車置き場へ。花柄エプロンを畳んでしまう。似合わないのに自覚はあるがこれしかないのだからしょうがない。さて、もうじき日が暮れる。その前に依頼された動物を説得しなければ。右手には買い物リストのように動物がびっしり書かれた紙。主夫のようにそれを見ながら黎斗はペダルを漕ぎ始める。












《怠惰》

「ただいまー」

 今日は休日。ボードゲーム部の活動も今日は無い。食材の買い出しから帰ってきた黎斗の声は、ひんやりとした廊下に虚しく響いた。靴を脱いで廊下を歩き、食材を冷蔵庫に突っ込む。一週間前までは整頓されていた冷蔵庫も今やぎゅうぎゅうに突っ込まれ、全盛期の輝きを見る影もない。冷凍庫に至っては開けただけでアイスクリームが落ちてくる。冷凍したご飯も一緒に。そんなありふれた(?)トラップもまた、恵那が居た頃は有り得なかったのだが。

「疲れたー……」

 足元の袋からコーンポタージュの粉を取り出す。事前に沸騰させ保温しておいたお湯と牛
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