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ヴァレンタインから一週間
第1話  長門有希と言う名の少女
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 それに、この目の前の少女のように、完全に納得した形ではない死と言う状況は、魂が現世に居残って仕舞う可能性も有ります。
 そして、もし、本来死すべき定めになかった彼女が、ここで死亡した場合に世界に与える悪影響は……。

 おそらく、自殺者の霊に近い存在と成ると思いますね。
 自殺者の霊は、自らの仲間を増やそうとします。そして、自らに近い存在。陰の気に囚われた人間を誘い込み、自らと同じような存在。つまり自殺者となる事を強制します。所謂、縊れ鬼と呼ばれる首を吊らせる鬼の類が、それに当たります。
 そして、更に仲間を増やして行き、更に滞るようになる陰の気。
 この部屋が所謂、自殺の名所と呼ばれる場所となり、そして、やがてその滞った陰の気が、異界への通路を開いて仕舞う可能性も有りますから。

 そこまで考えたトコロで、俺は改めて、長門有希と名乗った少女を見つめる。
 ……少なくとも今のトコロは邪悪な存在では有りません。多少、陰の気が勝っているような気もしますが、それはおそらく、彼女が発している寂寥感から来る物で有って、邪な物ではないでしょう。

 但し、そんな存在でも、こんな寂しいトコロで、更にたった一人で孤独な内に消えて仕舞えば、容易く悪霊化する可能性は有りますか。
 ……ならば、

「なら、長門さんに課せられている仕事。何故、貴女はこの部屋に留まり続けなければならないのか、俺に教えてはくれないだろうか?」



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