第1話 長門有希と言う名の少女
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った存在の可能性の方が高いですか。
そう思い、改めて、長門有希と名乗った少女を見つめる俺。
突如、会話と止めて、自らの方を見つめる俺を、それまでと変わらない、感情を表す事のない透明な表情で見つめ返す長門有希。瞬く事の少ない瞳と、その印象をより鋭い物としている銀のフレームに青白い人工の光が反射して、より季節と時間帯に相応しい冷たい光を作り出している。
但し……。
矢張り、邪悪な雰囲気を発してはいない。それに、この彼女が発している強い寂寥感と言う物も、故郷から見知らぬ土地に流されて来た存在が発する物だと考えると、そう不思議な物だとも思えませんか。
それならば……。
「……ひとつ聞いても良いかいな?」
彼女の、その麗貌と表現しても良い容貌を少し見つめた後に覚悟を決めて、そう話し掛ける俺。
俺の問いに、少し間を置いて首肯く長門有希と名乗った少女型の何者か。
いや、心が存在していて、陰にも陽にも傾き過ぎていない存在ならば、生物学的には人間と言う訳には行きませんが、少女で有る事は間違いではないですか。
「このままでは、近い未来に長門さんはこの世界から消える事になる。それで間違いないな」
俺の問い掛けにそれまで通り、まったく感情を表現する事のない透明な表情で相対する長門有希。
しかし、心の部分は違った。彼女の心の部分には、大きな驚きが支配している事が判る。
うむ。間違いない。多少、無機質な部分は存在しています。しかし、推測に過ぎないのですが、彼女に心は存在しているとは思います。
今までで俺が出会った事が有る存在の中から似たような存在を探すと成ると、意識が発生してから間がない頃の付喪神の類が一番近いですか。
但し、もし彼女が付喪神の一種なら、完全に人化の能力を得ている様子から推測すると、元々、かなり人間に近い姿形を持った存在だったと思いますが。
例えば、人を模して造られた人形の類が、時を経て魂を持つに至った存在だとか。
「俺には、長門さんを、元々、貴女が住んで居た世界に送還させる方法が有る」
かなり落ち着いた口調で彼女に対してそう告げる俺。彼女が信用してくれるかどうかは疑問ですが、少なくとも、俺の言葉に欺瞞は有りません。
その方法はふたつ。
ひとつ目は、双方の合意の元に行われる送還魔法。
この方法ならば、彼女の故郷を俺自身が探ったり、強くイメージしたりする必要がなく、彼女自身が強くイメージする事で彼女の故郷へと帰還する事が可能と成ります。
当然、その故郷に待つ家族が存在するならば、更に術の成功率は上がります。
これは、彼女自身が持つ、家族との絆や、彼女が暮らして来た世界との間に繋がった因果の糸を辿って次元孔を開く方法。
但し、
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