暁 〜小説投稿サイト〜
ヴァレンタインから一週間
第1話  長門有希と言う名の少女
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「成るほど、そうしたら、俺はなんで、長門さんの部屋のフローリングの床でコケなんだらアカンのか判るかいな?」

 一応、そう聞いては見るのですが。

 もっとも、俺本人にも判らないのに、縁も所縁もないこの美少女にそんな事までが判る訳はないとは思うのですが。
 それに、あの時に感じたのは、おそらく空間の歪み。何らかの次元孔が発生して、その次元孔に俺が呑み込まれたと考えるべきですから。
 おそらく、あの場で俺の様子を一部始終目撃した人間から見ると、現状の俺は神隠し状態だと思いますね。

 まして、彼女が、こんな異常事態に対応出来る存在の可能性は薄いとは思いますし……。

「貴方は現在より約二百秒前に、わたしの前に空間転移をして来た。
 その際に、小規模の次元震を確認」

 しかし、何故か、いともあっさりと答えを返して来る長門有希と名乗った少女。
 いきなり、目の前に見ず知らずの人間が空中から放り出されて、慌てる事もない女の子。
 更に、その放り出された人間が現れてからの時間を正確に記憶していて、その俺が現れた際に発生した異常現象を把握している。

 この()、一体何者?

 自らの視線に僅かばかりの霊力を乗せようとして、しかし――
 しかし、彼女に対しての詮索は後回しにしても大きな問題はない。そう考えを改める俺。そう、少なくとも、彼女、長門有希と名乗った少女から感じる気配は、俺を害するような雰囲気ではなさそうだ。そう感じたから。それならば、現状の確認が最優先でしょう。

 それに、彼女の語った言葉。次元震と言う言葉は、微妙に理に叶っているような気もしますから。

 おっと、その前に聞いて置くべき事が有りましたね。
 確か、以前に時震と言う異常事態が起きた時には、世界に妙な影響を及ぼしましたし、そのせいで黙示録一歩手前にまで行ったらしいですから。

 俺の尊敬する師匠の話なので、多分、これは事実だと思います。
 普通に考えたなら、とでもではないのですが信じられない類の話なのですが。

「危険な……。この世界に悪影響を及ぼすようなモノでは無かったのか。その次元震とか言う現象は?」

 尚、長門有希と名乗った少女は、俺の質問に対して、少しの間を置いた後、彼女に相応しい仕草で首を横に振った。
 そして続けて、

「不明」 ……と短く、簡潔に答える。

 成るほど。まぁ、これは当然の答えでしょうか。そもそも、その次元震と言うのが、どのような現象を指す言葉なのかは判りませんが、俺が、最低でも時間と空間を移動したのは間違い有りません。そして、その次元震と言う現象を感知出来たとしても、その結果、世界にどう言う影響が有るか、……と言う事まで判る人間は早々居ませんか。

 そんな事を考えながら、
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