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ヴァレンタインから一週間
第1話  長門有希と言う名の少女
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「グゲッ!」

 非音楽的な声と共に、木目模様のフローリングの床に倒れ込む俺。ただ、とっさに受け身を取り、更に、生来の能力を行使して周りに余計な被害を加えないようにする。

 ……って言うか、木目模様のフローリングの床?

 慌てて、頭を持ち上げて辺りを見回して見る俺。
 その次の瞬間――
 俺の瞳に映る殺風景な部屋。頭上より照らす無機質な蛍光灯の明かりは暖かみとは無縁。その部屋の真ん中にコタツだけが置かれ、
 俺の向かい側の一辺には――
 座布団の上にちょこんと座った一人の少女の姿が有った。
 ……って、俺は確か、朝、学校に行こうとして、玄関を出たトコロだったはずなのですが。
 そこで、妙な眩暈のような感覚に襲われて……。

「えっと、状況が良く判らないのですが、俺はどうしてこんなトコロに居るのでしょうか?」

 どうも、良く状況が掴めないのですが、ここは一般人のフリをして置くのが得策でしょうか。
 そう考えた後、その、真っ直ぐに俺を見つめたまま、視線を逸らそうとしないメガネ装備の美少女に問い掛けて見る。尚、他人の部屋に上り込んで仕舞ったので、履いたままに成っていた靴を脱ぎながら、だったのですが。

 しかし、これでも十分に一般人とはかけ離れた対応でしたか。

 もっとも、これは仕方がないでしょう。流石に動転して、
 ここは誰、私は何処? 何をしているのかしらりるれろ、では、頭が悪るすぎる対応だと思いますから。

 自らも気付かない内に、顔の部分に持って行って居た右手を不自然にならない程度のスピードでコタツの上に移す俺。流石に、初対面の相手の前ではこの所作は失礼に当たると思いましたから。

 そうしたら、落ち着いてもう一度周囲を見回して見る。
 最初に見た通り、妙に殺風景な部屋です。余計な家具の類……例えばTVとか、サイドボードはおろか、彼女の背後に見える窓にはカーテンすらなし。隣に台所。それに、俺の後には襖……と言う事は、この向こう側は、おそらくは和室ですか。
 う〜む。ただ何と言うか……。ただ、俺をじっと見つめているだけのこのメガネ装備の美少女の雰囲気には、何となくですが良く似合っている部屋だとも思いますね。

 しかし……。
 俺はしばらく周囲を見回した後、メガネ越しの冷たい瞳で、俺を見つめる少女を改めて瞳の中心に据える。

 矢張り、妙に胆の据わった女の子のように感じますね。彼女の背後に見えるカーテンすら着けられていない窓に映る風景は夜。更に、いきなり何もないはずの空間から見た事のない男……と言うか少年が現れても、慌ても騒ぎもしない。
 どう考えても、普通の少女とは思えません。

 見た感じは、中学生。俺が中三ですから、同い年か、ひとつ下と言う雰囲気。ただ、どう考えても不自然な
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