§27 夜の街での襲撃者
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……僕もヤキが回ったな。侮れる相手じゃあ、ないね」
落ち着いた幹彦の代わりに今度は陸鷹化が緊張した面持ちでこちらを見やる。
「ねーねー、なんで戦いに来たワケ?」
呑気な黎斗に答える様子はもうない。否、殺気が答えた、というべきか。
「……さっきの一撃といい兄さんの力はよくわかった。こっちも本気をださなきゃダメっぽい。師父に仰せつかっている手前こっちは後に引けないんだ。刺し違えてでもアンタをどうにかする。でないと師父に殺される。幸い、アンタさえ落とせればこっちのものだ」
余裕モードから一転。悲壮感溢れる決死隊モードへ。いったい彼の中で何があった。
「いや師父て誰よ……」
疑問符が黎斗の脳裏を駆け巡る。そんな彼を放置して青年は行動を開始した。足元の小石を蹴り飛ばす。散弾銃のようなそれと共に、一気に距離を詰めてくる。小石の群れを風を蹴って相殺、掌底と次いで放たれる蹴りを左腕で黎斗は防ぎ、後退しようと試みるが鷹化は逃がすまいと追いすがる。
???疾く、重い。
確かに掌力絶大と言われるわけだ。ここまでの使い手など黎斗もほとんど戦った記憶がない。これ以上の遣り手ともなると皆無だろう???ただしその「強い」という評価は冠詞として人間にしてはというフレーズを必要とするのだが。
「うん、っと。しっかし、強いなぁ」
???つまるところ、黎斗の敵にはなりえない。
「???!?」
突如、鷹化が動きを止める。はたしていつから刺さっていたのか。両肘の関節に刺さるのは短剣。最初に対峙していた時に黎斗が持っていたものだ。恐らくは先ほどのタイミングで仕掛けたのだろうが、鷹化どころか観戦者達すらその挙動の察知を出来てはいないだろう。
「ちっ……」
舌打ちと共に後退する鷹化に追いすがりつつも、黎斗が更に己の影へ手を伸ばす。影から抜き出すは、鈍い輝きを放つ漆黒の大鎌。纏う気配の質が違う。おそらく相当高位の魔術武器。このままではまずい。それを察した青年は勝負に出る。飛鳳十二神掌。師より授かりし究極の武技は、しかし黎斗を捉えることなく空を切る。攻撃を外した、そう認識した次の瞬間には黎斗の姿が消えていた。
「!?」
黎斗を見失い動揺したのは僅か一瞬。直後、彼は迷いなく前方へ跳ぼうと試みる。だが、それはあまりにも遅すぎた。一瞬の間に、響くのは大地にナニカが打ち付けられる音。鷹化の背後に大鎌の柄が打ち下ろされる。大地に垂直に立った鎌を軸にして。
「よっ、と」
「−−−−」
彼は気の抜けた返事と共に蹴り飛ばされた。呪力を込めた黎斗の蹴りは普段とは比べ物にならない威力を叩きだす。声すら出せず、大地と平行に吹き飛ぶ鷹化。高層ビルの壁
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