第4章 聖痕
第42話 蛇たちの父
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まして、木行を以て、大地(土)に籠った陰気を天に返すのは、俺の知って居る五行の思想にも繋がる考え方ですから。
それに、彼女が用意したのは、全て風水的に言っても陽に属する樹木ばかり。確かに、方位に因っては、植えると問題の有る樹木も存在するのですが、それでも、俺と、この世界のウィッチ・クラフトの使い手との二人で事を為せば、悪き気の澱みを作る事はないでしょうから。
ただ、どうも、このハルケギニア世界の裏側には、西洋的ではない、東洋の思想に近い部分。相反する聖と邪。火と水などの思想とは違う部分をごく稀に感じる事が有るのですが。
もっとも、俺は、ウィッカやドルイドの魔法には詳しい訳では無いので、確実な事が言える訳ではないのですが、俺の仙術や東洋系の魔法も、そして、十字教に因って駆逐される前のヨーロッパに存在していた白魔法や黒魔法に属する魔法も、すべて精霊を友とする魔法ですから、多少は似ていても不思議では有りませんか。
ただ、モンモランシーの魔法を手助けする文字は、ルーン文字ではなく、オガム文字と呼ばれる文字だとは思うのですが……。
「わたしにも、鎮魂の方法を教えて欲しい」
俺とモンモランシーの会話が終了したのを確認した俺の蒼きご主人様が、そう言った。
確かに、彼女のこれまでの考え方や、行動からすると、この言葉の首肯けます。今回の岩塩坑道内の穢れを祓う仕事も、彼女に課せられた騎士としての仕事です。その彼女の仕事のかなりの部分を、俺が熟しているのですから。
「それなら、先ずは歌から入るべきかな」
別に否定しても意味は無いですし、俺自身に掛かる負担も減る。これは、渡りに船の願いなので、そうあっさり答える俺。
但し、俺に、その歌を教える事が出来るかどうかは、考慮の外なのですが。
「この鎮魂の笛と言うのは、基本的には鎮魂の歌と同じ物。但し、俺では、聞くべき相手の魂を揺さぶるような歌を歌う事が出来なかったから、笛と言う楽器を使用している」
音楽的才能がゼロと言う訳では無かったのですが、矢張り、長嘯に関わるには、その才能が欠如していたのでしょう。
それに、俺の仙術の師匠の方も、残念ながら歌で鎮魂を行える程の実力は有していませんでしたから。
俺の実家の方が伝えて来ていた術を完全に会得していたのなら、こんな中途半端な術ではなく、完全な鎮魂の術を施す事が出来たと思うのですが。
もっとも、その場合は、魂鎮めと、魂振りの両方がこなせる、神道系の術者として召喚される事に成ったと思いますが。
「鎮魂の歌。……呪歌、ガルドルのような物なんでしょうか?」
俺の答えを聞いたモンモランシーが、そう問い掛けて来る。
……そう言えば、このハルケギニア世界では、ルーンを唱
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