第4章 聖痕
第42話 蛇たちの父
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通常、霊的な意味に置いて、世界の防衛機構が働くと言うのは、このような形で、何らかのメッセージを受け取った、事件を解決する手段を持った存在が現れる事を指します。
例えば、もっと神や仙人が身近にいる世界ならば、直接、神や仙人が送り込まれたり、そうでない世界の場合でも、なんらかの神託や偶然、もしくは、関係者が巻き込まれるような形で事件を解決する手段を持った存在が、事件に強制的に巻き込まれたりする形と成りますから。
しかし、どうも、俺やタバサが、適当にこき使われているような気もしないではないのですが。
イザベラ。つまり、ガリアは元より、この世界の防衛機構としての存在からも。
カジノ事件の裏に潜んでいたモロク系の邪神や、今回の邪神セトの復活に至る企みなどは、どう考えても、俺やタバサのような人間が対処すべき事柄ではないように思うのですが。
但し、だからと言って止めてくれと言える立場には有りません。更に、関係ないとして放置すれば、その先には俺が護らなければならないタバサに害が及ぶ可能性が大きい事件ばかりですから、無視する訳にも行かないので……。
尚、彼、不死者アマトが以後、どのように生きて行く事に成るのかは、彼の生きたいように生きて貰おうと思っています。
彼は、生まれた時から奴隷として生きて来て、死亡した理由も、生きの良い死体が必要だからでした。そして、本来ならば魂はそのまま輪廻の輪に還るはずだったトコロを、彼の名前に籠められた呪いにより、事件のメッセンジャーとしての役割を担わされてこの世界に帰って来たのだと思います。
そう。今までの彼の人生には、自らの意志で選んで決めた道は無かったと思います。ならば、これから先の第二の人生は、自らの意志で決めたとしても誰からも文句は言われないでしょう。
もっとも、おそらく彼は、彼の意志でこの街に戻って来る事となるでしょう。
それは、この街には、たった一人。ヒトで無くなった彼を受け入れてくれた人間が、たった一人だけ居てくれましたから。
それに、見えない存在が見える、と言う事は、相手……。本来は生者に対しては無関心で有る霊や鬼から、ジジちゃんに対する関心を持たれる可能性も有ると言う事です。
そんな中には、友好的な存在も有れば、悪意を持った存在も居る。そして、見鬼の才を持っているだけのジジちゃんでは、見えるだけで、退ける方法は有りません。
冥府より帰り来るアマトが傍にいなければ、彼女が危険に晒される可能性も有りますから。
☆★☆★☆
坑道内を、死者たちを癒す笛の音が流れて行く。
高く、低く。
鞭で打たれ、人としての尊厳を打ち砕かれた後に死した魂の慰撫。
俺に、そんな高度な鎮魂の曲が吹けるかどうか
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