第4章 聖痕
第42話 蛇たちの父
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、タバサを少し見つめてから、アリアの怒りを正面から受け止め、首肯いて答えた。そして、
「アイツのトドメを刺せるのは、おそらく、タバサ以外には存在していなかったから」
……と、続けた。
但し、この部分は俺の仮説に過ぎません。もしかすると、俺の考え過ぎかも知れない。しかし、あの場で失敗が出来なかったのは事実。
そう言う判断を要求された場面だったと、俺は考えて居ましたから。
「彼女には月神の加護が有る。そして、ヤツと関係が深い邪神と争ったのも月の女神。まして、今夜は月の魔力に影響が出るスヴェルの夜。
その夜に起きる、邪神セトに関係する事件で有る以上、月の女神の加護を受けるタバサ以外に、この事件の決着をつける人間はいない」
それ以外の理由は、アマトと言う名前。アマト以外の不死者の姿が、古代エジプトの奴隷の姿で有った事。彼の呟いた言葉が、古代エジプトの死者の書を表す言葉だった事。
これだけの状況証拠を無視して、女神イシスと同じ月神の属性を持つヘカテーの加護を受けしタバサ以外の人間にトドメを刺す役を与える訳がない。
いや、俺には出来なかった。アマトの言葉。死者の書に当たる意味の言葉を聞いた後の俺には……。
俺の声のみが、戦場となった坑道内に響く。
「古代エジプトでセトを封じたとされるイシスの行動を綴った物語の再現をする事で、勝利を得られるのなら、俺はそれをなぞる策を立てる。
まして、ここで、イグを倒さなければ、クトーニアンに因る地震に因って、このベレイトと言う街が滅ぶ」
いや、おそらくはそれだけで終わるとは思えない。それは、序章。本当の悪意はその後にこそ始まる。
「ヤツ。イグはおそらく、蛇神セトを呼び出す為に、クトーニアンを使ってこの街の破壊を試みようとした。
蛇神セトと、冥府の神オシリスは、共に冥府の神としての側面を有して居り、死した魂を奪い合っている」
そして、昼間に見たこの地の奴隷たちは、ロマ系の人々。ロマ系の人々には、当然、エジプト系の方々も多く含まれている。
「セトに課せられている封印を破るには、かなりの量の魂が必要だと言われている。しかし、冥府の神オシリスが、邪神セトが死者の魂を得る事を許さない」
しかし、この場所は、ロマ系の人々が鞭を打たれ、血や涙を流しながら造り上げられた岩塩の坑道。この恨みの坑道を冥府への通路に見立て、セトの封じられている魔界にまでの次元孔を開き、そこに、月の隠れる今夜、大量の魂を送り込めば……。
「邪神セトが復活する」
確かに、俺の知って居る範囲内で蛇神セトとヘビたちの父イグとの関連を指摘した資料は多くは有りませんでした。が、しかし、それでもゼロでは無かった。
それに、邪神セトが復活したからと
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