第十七話 影の実力者その一
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影の実力者
こんなクラスでも纏め役がいたりする。このクラスではそれが二人いる。
奇しくもそれは双子だ。アッシリア人のミオ兄妹、アルフレドとビアンカの二人である。
二人共青い瞳に金髪である。だが背は兄の方が高く妹は低い。ただし顔つきは違えど二人共凛々しい顔立ちをしている。それが実に魅力的な二人である。
アルフレドもビアンカも冷静沈着である。だがビアンカには問題が一つあった。それは。
「やっぱりこの娘がいいわよね」
女の子の写真を見てうっとりしている。実は彼女はレズなのだ。
「別に悪いことじゃないでしょ」
それを言われても平気である。この時代の連合やエウロパである。だからそれはいい。ただしだ。
「私そういうの書くのは好きだけれど」
アンはとりわけ拒否反応を示している。
「あの、わかるわよね」
怯える目でビアンカを見て言う。
「ユダヤ教だからさ」
「ああ、そうね」
ビアンカはそれを言われて気付く。
「ユダヤ教はね」
「そうよ。同性愛は駄目なのよ」
何か身震いしているようにすら見える。
「何があっても」
「じゃあいいわ」
「そうよ。けれど同性愛は駄目ってだけで」
友達付き合いは続けている。それは変わりはしない。
「けれど男の子でもいいのよ、私は」
実はバイセクシャルであるらしい。
「どちらでもね」
「けれどあんた処女でしょ」
レミがそれに問う。
「確かどっちとも付き合ったことないじゃない」
「それでもよ」
ビアンカは言う。
「どっちでもいいの。わかる?」
「わかったようなわからないような」
「けれど漫画の話にはなるわよね」
ルビーはせっせと自分の机でネームを書きながら述べた。
「そういうのって」
「ああ、ネタにしてもいいからね」
ビアンカも自分でそれを言う。
「私の方はね。好きにやって」
「それじゃ御言葉に甘えて」
「どんどん書いてくれていいから」
「それでさ」
レミがまた問う。
「どんなのがタイプなわけ?」
「男の子?女の子?」
「ああ、両方。どっちがいいの?」
「そうね」
その質問に考える顔と目をしながら答える。黒いセーターにズボンが大人びた、それでいて引き締まった身体によく似合っている。
「まず男の子だけれどね」
「ええ」
「元気のいい子がいいわね」
「あれっ、年下好き?」
それをクラスの端で聞いているナンシーが青い顔をしている。だがそれに気付いている者はいなかったのが彼女にとって幸いであった。
「そういうわけじゃないの」
ビアンカのこの言葉が発せられるとナンシーの顔色が元に戻っていく。
「どっちかというと同じ歳の方がいいわね、男の子は」
「そういうものなんだ」
「ま
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