§24 黎斗と護堂と須佐之男命と
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の話ときて次は須佐之男命。まったく、話題の移り変わりが早い。ちとばかしせっかちすぎはしないだろうか?
「あ、わかった? うん、アレはスサノオよ。護堂にバラしたから、ね」
「え……?」
黎斗の笑みを見て、護堂の顔色が青褪める。
「僕の能力の一つ。マモンの権能。触れたモノを貴金属・宝石の類に変質させる。これは生命にも有効だ。あとは……わかるな?」
予想外に須佐之男命の抵抗が激しかったので数回死ぬハメになったが、戦果は上々だろう。
「期間はてきとー。僕の気の済むまで。まぁ一週間かそこらにするつもりだけど。それまでタングステン製の彫像として玄関で伝言掲示板の役目を果たしてもらう。ご近所さんの為にもなる、とっても素敵な罰ゲーム。加減して体表面コーティングで済ませてあるから命に別状はないよ。邪眼で解けば一発さね。もっとも、一般人ならもう餓死しているだろうけど」
普段と変わらぬ口調で、サラリと凶悪な事を言う黎斗に、護堂は数歩後ずさる。
「スサノオは……脱出しないのか?」
護堂は思う。くさっても彼は神。黎斗の言が正しければ??表面コーティングとやらだけならば??すぐにでも脱出できそうなものだが。
「したら更に恐ろしい目にあわせるよ、って言ってあるから大丈夫」
大丈夫なものか! 護堂は初めて須佐之男命に同情した。あとどれくらいの期間この苦行が続くのかはわからないが、黎斗の気が済むまで近所の人々にラクガキをされ続けるのだろう。
「第一ここで解除したらアパートの庭にカミサマ爆誕よ? 大事件じゃん。今は不思議パワーごと金属化してるから問題ないけど、少しでも解除しようもんなら大惨事になるのは目に見えてる。そこまでわかって抜けだすほどスサノオも馬鹿じゃあないさ」
信頼しているんだか信頼していないんだかよくわからない論法である。というか黎斗は大惨事覚悟で”罰ゲーム”とやらをおっぱじめたのか。
「俺の同胞は人格破綻者ばっかりだ……」
お前がいうな、と普段なら言われる台詞。ツッコミ役不在の状況だったからだろうか。その言葉はすぐに場の空気に溶け込んだ。ため息をつく彼の視界の片隅に、丸まり寝ているエルがいた。
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