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八条学園騒動記
第十六話 物持ちはいいけれどその五
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だ?」
「何だ、やっぱりそういうこと知ってるじゃない」
「隠すなんてずるいわよ」
「そ、それはその」
 急に元気がなくなりあたふたとしだした。
「誰なの?」
「どうやって知り合ったの?」
 ロザリーや蝉玉まで参戦してきた。皆興味津々である。
「教えて欲しいわね」
「そうよね、どういう経緯かね」
「何回かも」
「いや、それはね。その、あのさ」
 ダイアナもこうなっては容易に逃げられない。それがわかっていても必死に逃げようとする。
「まあプライベートだし」
「言えないっていうの?」
「ずるいんじゃない、それって」
「そのさ、いいじゃない。まあ」
「よくないわよ」
「ねえ」
「さあ、聞こうか」
「うん」
 何時の間にかダンやトムまで来ていた。
「詳しいことを」
「是非」
「参っちゃったなあ、こりゃ」
 一人教室の中で苦い顔を浮かべるしかなかった。その頃グラウンドではフランツが相変わらずタムタムと共にランニングに専念していた。
「男だったら!」
 いきなり訳のわからないことを叫んでいる。
「一つに賭ける!」
「それは歌か?」
 タムタムがその横で走りながら問う。
「そうだ!」
 フランツは大声でそれに答える。
「いい歌だろう」
「何か勘違いしているような気がするがな」
「そうか?」
 この男にとってはクラスの喧騒も他のことであった。相も変わらず一人の世界を進むだけであった。それがいいか悪いかは別にして。


物持ちはいいけれど   完


                   2006・11・16
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