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八条学園騒動記
第十六話 物持ちはいいけれどその三
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「いっちゃったよ、あいつ等」
 ロザリーはそれを見送って呟く。
「タムタムも大変だな、何かと」
「まあバッテリーだからね。扱いには慣れてるみたいね」
「そうだな。にしても」
 ナンに言葉を返してもまだ呆れ顔であった。
「熱血馬鹿もあそこまでいくともう尊敬に値するな」
「馬鹿は馬鹿なりにね」
「ああ」
 とんでもない速さで走り続けるフランツを見ながらの言葉であった。
 それでアンジェレッタに顔を戻す。するとそこにもう一人いた。
「あれ、あんたもか」
「ええ」
 クラスメイトの一人がロザリーに返事をした。
「何かアンジェレッタのお薬が気になってね」
 そこにいたのはジュディ=ハイマーであった。カルタゴ人だ。
 黒がかった明るいブラウンの髪にダークブラウンの瞳。面長で明るい顔をしている。滅茶苦茶美人というわけではないが人好きのする顔だ。背は高く結構痩せてスリムな身体をしている。その痩せたスタイルがやっきりとわかるぴっしりとしたズボンにトレーナーという格好である。
「それで来たんだけれど」
「そうか」
「ええ。それにしても色々持ってるわね」
「実家薬局だからね」
 アンジェレッタはにこりと笑って述べる。
「それでなの」
「ふうん。あっ、これ」
 多くの薬の中の一つを手に取ってジュディは声をあげた。
「どうしたんだ?」
「私持ってるわよ」
「あんたもかよ」
「ええ、そうなの」
 ロザリーに返事をした。
「これもでしょ」
 別の薬を手に取って言う。
「そしてこれも。これもよ」
「っておい」
 話を聞いていたロザリーが突っ込みを入れる。
「一体どれだけ持ってるんだ」
「だってうち雑貨屋だから」
 ジュディは言う。
「結構色々持ってるのよ」
「雑貨屋でこんなの扱ってるの?」
「まあ色々とね」
 アンジェレッタにも答える。
「他にも一杯あるけれど」
「そうなんだ」
「そうよ。他にもマンモスの化石とか」
「うわ、それって凄い」
「うちのお店の看板なのよ」
「それの骨って漢方薬に使えるのよね」
「あっ、そうだったの」
「そうよ。恐竜の骨だって」
「へえ、それはまた」
 ジュディにとっては意外な言葉だった。
「骨を薬に」
「他にも色々なの使うけれどね。そういうのもあるの」
「漢方って不思議ね」
「まあね。何でわからないけれど蝉玉はこういうの知らないのよね」
「だってさあ」
 蝉玉はアンジェレッタの言葉に応えるかのように憮然とした顔になっていた。
「専門じゃないからさ。そっちの方は」
「中国人なのに?」
「中国生まれでもよ。家系には漢方医いないし」
「ふうん」
「お爺ちゃんは軍人だしさ」
「ああ、参謀総長さんね」
 彼女の祖父は連合軍参謀総長である。ちな
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