第4章 聖痕
第41話 フランケンシュタインの化け物
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者たちは、それぞれが生命の源である赤黒き液体を流しつつ有る状態。しかし、その中で尚、無傷で立ち続けるリード・アルベロが俺達を憎悪の籠った瞳で見つめながら、そう言った。
戦闘中とは思えない、余裕を持った台詞を。
その余裕の理由は、先ほどのタバサの魔法でも傷ひとつ付ける事の出来ない精霊の護りか。
その台詞が終わるか、終わらないかの内に、再び動き出す不死者たち。言葉通りの不死性を体現した、既に傷口が塞がりつつ有る不死者たちが、俺とアリアに再び接近する。
その一瞬の後、十メートルほど有った彼我の距離を、ほぼ一瞬の内に詰めた先頭の一体が、自らの流した赤黒き液体を血風に変え右腕を力任せに振り回す!
その腕に籠められた力を真面に受け止めたら、俺の身体など爆砕して仕舞うのは間違いない、凶悪な破壊の権化。
しかし! そう、しかし!
紙一重で躱した俺。ここまでは先ほどと同じ。
しかし、ここからが違った。
先頭の一体が、爆発したかのような勢いで、俺に向かって跳びかかる。
いや、違う。これは、先頭の一体を、残った二体が打ち出したのだ!
その巨体自体を武器に、自らの不死性を利用した、味方の安全など一切考慮しない攻撃。
しかし、その瞬間も、俺は前進する事を止めない。いや、止める必要などない!
そう、俺の身体には、魔法を使用しない攻撃を一度だけ完全に反射する仙術が施されている。
俺を巨大な身体が押し潰したと思われる正にその刹那! 俺と不死者のちょうど中間点の空間に突如現れる防御用の魔法陣。そして、その空中に描き出された五芒星が光輝を発し、次の瞬間、打ち出された時と同じ勢いで打ち返される不死者!
赤黒い液体を霧状に為し、身体自体が爆発したような形に成りながら打ち出した二体に対して、その肉片と化した元不死者が降り注ぐ。
嫌な臭気を発生させる赤き霧のカーテンを抜けて、棒立ちと成った二体の不死者の前でクロスするかのように体を入れ替え、それまでの俺が左、アリアが右の立ち位置から、俺が右、アリアが左の配置に入れ替わる。
瞬間、徒手空拳で有った俺の右手に顕われる七星の宝刀。
地を這う様な低い位置から斬り上げられる一刀は、俺の霊力に反応して蒼く光り輝き、
片や、左側に位置するアリアが高く掲げた七星の宝刀も、彼女の霊威に反応して、蒼銀の輝きを発する。
強く踏み込んだ右足に掛かっていた体重から、再び左足に体重を移動させる際に振り抜かれた銀光が、向かって右側に位置する不死者の左腰の辺りより侵入!
同時……。いや、一瞬のタイムラグの後、アリアが振りかぶった七星の宝刀が、向かって左側に位置する不死者の右の首筋から一閃と成って、左腰の部分へと抜ける!
世の東西。地球とハルケ
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