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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第41話 フランケンシュタインの化け物
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龍の気を籠めながら……。
 そう。龍の気。大自然の猛威として畏れられる気を言葉の中に籠める事により、軽い畏怖を抱かせる為に。

 但し、この言葉は、彼が自ら望んで今の境遇。つまり、自らが望んで何らかの非合法な科学実験の被検体に成っている場合などは逆効果と成り得る台詞ですし、彼自身が犯罪者の場合でも同じだとは思いますが。

 ただ、ジジちゃんがまったく恐れる事もなく彼と行動を共にしていますし、彼も、俺達三人の姿を見て逃げ出そうとはしましたが、ジジちゃんを人質に取ろうとはしませんでした。
 確かに、非常に濃い陰の気を発している存在では有りますが、それでも、精神(こころ)の在り様までが陰の気に囚われている存在の可能性は低い、と判断してのこの台詞なのですが。

 そう。非常に濃い陰の気は、おそらく、死の穢れ。見た目通りのフランケンシュタインの化け物と同じような存在ならば、肉体的な死の後、何らかの処置。現実を歪めるような処置を施された後に、この世界に舞い戻って来た生命故に纏う死の穢れを、俺は陰の気として感じているのだと思います。
 そして、俺が彼から感じているのは、交渉不能の存在が放っている雰囲気とは違い、正常な思考の元、交渉する事が可能な雰囲気を放っている存在だと言う事でも有ります。

 俺の問い掛けに、その黄色く濁った眼球をこちらに向け、

「貴様らは何者だ?」

 ……と、問い掛けて来るフランケンシュタインモドキの男。
 その声は、やけにしわがれ、その彼の姿形に相応しい死の色を感じさせずにはいられない。そんな声で有った。

「我々は、今回の厄介事を解決するために送り込まれて来た、ガリアの花壇騎士と、その騎士従者。少なくとも、君を無理矢理に排除しに来た存在では有りません」


☆★☆★☆


「俺の名前はアマト。元々はソルジーヴィオ商会と言う商会に買われて来た奴隷だった」

 温かいコーヒーの入ったカップを両手で抱えながら、そうフランケンシュタインモドキの青年は語り始めた。
 焚き火の炎と、俺の仙術。そして、元々ジジちゃんが用意していたランタンの三種の明かりが作り上げる微妙な明かりが、彼の、その死体めいた青白い肌に不気味な陰影を作り上げる。

「俺は商会で買われた奴隷の中では一番身体が大きかった」

 地の深き底より響くかのような不死者アマトの独白。焚き火の爆ぜる音と、そして、彼の呟きにも似た声。そして、俺達の呼吸の音だけが支配する世界(空間)であった。

「若くて、力の強かった俺は、買われて来た奴隷の中でも特別な待遇を受け、そして、ある日、特別の食事と言う物を食わされた直後に俺の意識は途絶えて……」

 次に気付いた時には、冷たい石造りの台座の上で、この姿で眠っていた。
 不死者アマトは
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