第4章 聖痕
第41話 フランケンシュタインの化け物
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「やぁ、ミスタ。少し、話をして貰っても構わないかな」
彼らの背後に大地の精霊ノームを回り込ませて逃走用のルートを遮断した後に、ゆっくりとした足取りで二人……ジジちゃんと、未確認生命体の元に歩み寄る俺達三人。
弱いランタンの明かりと、俺が掲げる明かりが照らし出した少し広い目ホール状と成った坑道内には、大きな不気味な影と、そして、彼の正面に座る小さな影を映し出している。
その未確認生命体。いや、違う。俺は、コイツの事を見た事が有るので、厳密に言うのなら、彼は未確認生命体と言うのは正確では有りませんか。
実際に、生きて動いているその存在を目にした事や、更に戦った事も。そして、銀幕の向こう側。テレビの画面の向こう側。その上、小説の挿絵などでは、かなり有名なモンスターで有る事も間違いない相手。
しかし、中世のヨーロッパでは、絶対に御目にかかる事は出来ない相手。
彼……、襤褸を纏った、見た目はかなり大きな身体を持つ青年と、そして小さな少女が、驚いたように俺と二人の蒼い少女たちを見つめた。しかし、その一瞬後、俺達三人と、その死を纏った青年との間に勇敢な少女が立ち塞がる。
そして、
「彼は、悪い人じゃない!」
そう、かなり強い調子で、俺達三人を睨み付けながら叫ぶ少女。
この少女が、おそらくはドミニク婆ちゃんの孫娘のジジちゃんでしょう。何処となく、この坑道の入り口で出会ったお婆ちゃんと面影が重なる部分が有ります。
見た目よりも、その魂が発している雰囲気などが。
しかしこの少女は、眼前のこの醜悪な姿形を持つ、生きて居る死体に対して嫌悪感を抱く事なく、友人としての関係を結ぶ事の出来る存在だと言う事なのでしょうか。
俺は、そう思い、改めてこの勇敢な少女を、尊敬と称賛の籠った視線で見つめ直した。
そう。彼女、ジジと言う名前の少女には、召喚士としての才能が有ると言う事なのかも知れませんから。
見た目や雰囲気に惑わされない、魂の本質を見抜く瞳。これを持っているのなら、この目の前の十歳の少女は、俺なんかよりも、ずっと優秀な式神使いとなる可能性が有ると言う事ですから。
「判っていますよ。ただ、そちらの……。正式な名前が判らないので、仮にヴィクトルくんとして置きましょうか。そのヴィクトルくん(仮名)と少し話がしたいだけです」
俺は、坑道内と言う陰の気に溢れた場所にあまり似合わない、さわやかな笑顔をジジちゃんと、そしてヴィクトルくん(仮名)に見せ、そう告げた。それに、流石にこれから交渉を行う相手を、化け物呼ばわりする訳にも行きませんからね。
但し、俺の見た目が、本当に爽やかだったのか、単に暑苦しかっただけなのかは、自分では判らないのですが。
そして、ジジちゃんを越
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