第二十八話 改革へ向けて
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安かね、君が提案した作戦だが」
「正直不安はあります。出来る事ならイゼルローン方面軍が編成される前に実施するべき作戦でした。時機を失したのかもしれない……」
シトレ元帥が頷いた。
「確かに方面軍が編成される前のほうが成功率は高かっただろう。しかし現状でも成功率は決して低くない、私はそう思うが」
「……そうですね、力攻めよりは……」
シトレ元帥が今度は声を上げて笑った。私は笑うことが出来ない、逆に溜息が出た。
「一体何が不安だね」
「そうですね、動員する艦隊が多すぎると思います。第五、第十、第十二の三個艦隊です。この作戦は動員を秘匿した方が、敵の意表を突いた方が成功の確率が高いと思うのですが……」
「そうだな、出来ればフェザーンには知られたくない、帝国に通報されたくない、そういうことだな?」
シトレ元帥の問いかけに頷いた。そう、最初は一個艦隊での作戦のはずだった。少なくとも私はそう想定していた。しかし受け入れられなかった……。イゼルローン要塞に一個艦隊で向かう、その事自体が危険だとして受け入れられなかった。
「駐留艦隊を引き摺り出してその隙に攻略する、それがベストです。そのためにはこちらの動員兵力が分からない方が良い。しかし……」
「イゼルローン方面軍が出来た以上、帝国軍は艦隊を安易には動かさないかもしれない……」
「ええ」
シトレ元帥が頷いた。もう笑ってはいない。
「その場合はイゼルローン要塞内に人を送り込み、要塞主砲トール・ハンマーを押さえる。トール・ハンマーが無ければイゼルローン要塞の攻略は難しくない。要塞を外から強襲しその時点で出撃してくるであろう駐留艦隊を排除する……。となれば艦隊兵力はある程度必要だ……。私にはおかしな考えではないと思えるが……」
「ええ、そうですね。……考え過ぎなのかもそれません」
おかしな考えではない、しかし強襲が前提となっている作戦だ。いや前提とせざるを得ない作戦だ。一手遅れた、ブラウンシュバイク公に先手を打たれたという思いが何度も胸をよぎる。やはりイゼルローン方面軍が邪魔だ、作戦の実施時機を失したのかもしれない……、また溜息が出た。
帝国暦487年 7月 12日 オーディン ブラウンシュバイク公爵邸 エリザベート・フォン・ブラウンシュバイク
今日も暑くなりそう、七月になってオーディンは日々暑くなってきている。エーリッヒ様は暑いのは苦手らしい、この時期だけは艦に乗っていた方が過ごしやすいと言っている。でも今日は珍しく庭に出ている。散歩ではないみたいだ。さっきから風通しの良い木陰で佇んでいる。私に見えるのは背中だけ……。
「エーリッヒ様」
思い切って声をかけるとエーリッヒ様が振り返った。そして私を見てニコッと笑みを浮かべる。邪魔
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