第二十八話 改革へ向けて
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後回しにせざるを得ない。結局、帝国全土で生産性は低下している。同盟の人口が帝国の約半分にも拘わらず国力比で同等という状況がここから発生する。悪夢としか言いようがない。
貴族に対して直接税の上限を設ければ領民達にも消費をするだけの余力も生まれる。そうなれば間接税による税の徴収も増えるだろう。そして直轄領に対する直接税の率も下げる事が可能だ。税が軽減されればそれだけでも政府に対する不満は減ると思うのだが……。
「ブラウンシュバイク公、大公には話したのかな、リッテンハイム侯には」
「話しました。大筋で合意しておられます」
リヒテンラーデ侯が頷いた。大公もリッテンハイム侯も最初は首を傾げた。しかし現実問題として何らかの改革が必要だとは理解している。最終的には俺の考えに反対はしなかった。
「財務尚書に話してみるか……」
「カストロプ公ですか」
「うむ」
「賛成するでしょうか」
オイゲン・フォン・カストロプ公爵、悪名高い財務尚書だ。俺の両親を殺した男でもある。宮中でも碌に挨拶などしたことは無い、俺の方から避けている。もっともあの男と親しくしている人間など見たことが無いが……。
「しないだろうな。上限を設けるなど貴族達の反発を買うのは必至、するわけがない」
「……」
ジジイ、何を考えている。薄笑いして碌でもない事を考えているだろう。寒気がする。
「そろそろ時が来たようじゃ」
「……」
「カストロプ公を始末し平民達の不満を抑える。そして改革に反対すれば容赦はせぬ、そう貴族達に分からせる。力の誇示無くしては改革など上手くはいくまい……」
なるほど、そろそろ年貢の納め時か……。確かに改革には力が要る、そういう意味では時が来たのは間違いない。それにしても碌でもない事を考えつくものだ。
「となると、カストロプ公に話すのはもう少し後ですか」
「そうなるの、あと二ヶ月か」
「はい」
「待ち遠しいの、あの男の顔を見るのもいささか飽きたわ」
そう言うとリヒテンラーデ侯が声を上げて笑い出した……。
宇宙暦796 6月 10日 ハイネセン 統合作戦本部 ヤン・ウェンリー
「どうかね、作戦の準備は」
「順調、そう言って良いと思います」
「クブルスリー司令長官からもそう聞いている。問題は無い、そう思って良いのだね」
満足そうにシトレ元帥が頷いている。両肘を机につき手を組んでその上に顎を乗せる、お気に入りのポーズだ。
元帥が席を立った、そして私の方に歩いて来る。そして私と向かい合う形でソファーに座った。
「ハイネセンを出るのは十五日だったな」
「はい」
「イゼルローンに着くのは七月の十日前後、十五日には攻略の成否がはっきりするな」
「ええ」
元帥がクスっと笑った。
「不
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