第二十八話 改革へ向けて
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利に戦争を進めている。だから戦争そのものに対して平民達からは大きな不満は出ていない。しかしこの状況で同盟相手に負けが続けば革命騒ぎになるだろう。俺など一番最初に血祭だ。平民でありながら帝国最大の権門に婿入りだからな。平民達から見れば裏切り者第一号と言って良い。生き残るためにも改革は避けられない。
「ところで軍の方は如何なのかな」
「現在、宇宙艦隊は編成と訓練を行っています。艦隊が外征が可能になるまでにはあと二ヶ月はかかるでしょう。それまではミューゼル大将の艦隊が頼みです」
「ふむ、あと二ヶ月か……」
リヒテンラーデ侯は考え深そうな顔をしている。話を逸らしたのではあるまい。軍の司令官達は平民、下級貴族出身だ。当然だが改革に賛成するだろう。二ヶ月後には貴族達が騒いでもいざとなれば力で押さえつけられる、そう考えたはずだ。
「平民達の不満を取り除くとなればやはり税と裁判を何とかする必要が有ると思います。開発と発展はその次の段階でしょう」
「そうじゃの、しかし税と裁判、どちらも貴族達は嫌がるだろう」
老人が顔を顰めた。
「先ずは税です。貴族から税を取るとは言いません。しかし税を取るなとは言えませんか」
「税を取るな?」
リヒテンラーデ侯が妙な表情をした。言っている事が分からないか。
「はい、上限を設けてはと言っています」
「うーむ」
「間接税による収入も増えると思うのですが」
「……なるほど、そういう事か」
貴族達は領地を持ちその中で徴税権、司法権も持っている。言ってみれば帝国内に地方王国が有る様なものだ。貴族に与えられた徴税権は直接税だけだが税率は特に決められていない、そのため酷いところでは七十パーセントを越える直接税を取り立てているところも有る。
七十パーセントとってもそれを領内の発展のために使ってくれるのなら良い。病院を作った、宇宙港を新たに作って交易を盛んにしたとか言うならだ。だが現実には彼ら貴族の遊興と私設艦隊の維持費に消えてしまう。帝国の発展のためには何の役にも立っていない。連中を弾除けに使いたくなるのは俺だけではあるまい。
帝国政府は直轄領からの直接税、及び帝国全土からの間接税を徴収している。しかしだ、七十パーセントも税を取られたら物を買うような余裕が有るだろうか? とてもじゃないがそんな余裕は無い、消費は冷え込む一方だ。広く浅くが間接税の趣旨だが到底その趣旨が生きているとは思えない。結局頼るところは酒、たばこ、塩などを政府の専売として不足分を補っている。
酷いもんだ。貴族が領民のために金を使わない以上領民の暮らしは向上しない。農業、工業において生産性は落ちる一方だ。宇宙時代にも関わらず農業は中世と全く変わらないなんて馬鹿げた光景が発生する。そして帝国政府は戦争のため直轄領の発展など
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