第46話
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麻生は拳を握り、前にいるエリスとシェリーを睨みつける。
「恭介、俺も」
戦う、と上条が言おうとした時だった。
「二人とも離れろ!!」
不意に横合いから叫び声が上がった。
傷ついた警備員の一人が倒れたままライフルを掴むと、麻生と上条が何か行動を起こす前に小さな銃口が勢いよく火を噴いた。
おそらく麻生の不意打ちに近い攻撃に勢いでもついたのかエリスに銃弾を撃ち続ける。
「がっ!!」
いきなり脇腹に衝撃がきたと思ったら、次の瞬間には上条は地面に転がっていた。
横を見ると麻生の右足が上条の脇腹を蹴り飛ばしたようだ。
「何で俺を!?」
そう聞いた瞬間だった。
上条が立っていた所に銃弾が飛んできたのだ。
なぜ銃弾が飛んできたのかというと警備員が撃った弾丸は確かにエリスに当たっている。
だが、エリスの身体は鉄やコンクリートの寄せ集めだ。
それらはトン単位の重量を持つ壁に向かって弾を撃てばピンボールのように跳ね返るに決まっている。
おそらく麻生は上条のいる位置に跳ね返った弾丸が飛んでくると予想して、乱暴な方法だが上条を蹴り飛ばす事で上条を助けたのだ。
「撃つのを止めろ!!
跳ね返りが当たったらどうする!?」
愛穂は叫び声をあげながらライフルを持っている警備員に言うが声が聞こえていないのか、一心不乱に銃を撃ち続けている。
(さて、どうする。)
一応、しゃがみながら作戦を考える麻生。
その時だった。
カツン、と唐突に麻生の後方から小さな足音が聞こえた。
連続する銃声の中でその弱々しい足音が確かに聞こえた。
麻生はしゃがみながら首を動かして後ろの方を見る。
上条も聞こえたのか同じように視線を後ろに向けていた。
非常灯の赤い光が照らし切れない通路の奥の闇から足音が響いてくる。
訓練された足音とは違い、頼りなくビクビクした足音だった。
「あ、あの・・・・」
その闇から聞こえたのは少女の声だった。
声の主のシルエットが浮かび上がってくる。
それは上条の見慣れた少女のものだった。
太股に届く長いストレートにゴムで束ねた髪が横から一房飛び出した、線の細いメガネをかけた風斬氷華が通路の真ん中に立っていた。
「馬鹿野郎!!
何で白井を待ってなかった!?」
銃声が響き渡る中でも負けないような叫び声が地下街に響き渡る。
上条は無防備に立っている風斬の元へ駆け寄りたかったが、跳ね回る銃弾のせいで立ち上がる事もできない。
麻生は苛立っているような舌打ちをすると立ち上がって風斬の所に向かおうとしたが、視界の端で跳ね返った銃弾が愛穂の所に飛んでくるのが見えたので麻生は盾を具現化させ愛穂の前に立って銃弾を防ぐ。
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