第46話
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出す。
あろう事か巨大な石像、エリスのいる方向へと。
彼女の動きにシェリーはオイルパステルを横へ一閃する。
エリスは羽虫を振り払うかのように、裏拳気味の拳は腕と脇腹を巻き込むように直撃した。
前へ進んでいたはずの風斬の身体が真横へ吹き飛ぶ。
そのままノーバウンドで三メートル近く宙を舞うと華奢な身体は勢い良く支柱へと激突した。
そればかりか風斬の身体はピンボールのように跳ね跳び、柱を支点として「く」の字を描くような軌道でシェリーの足元に転がる。
エリスの一撃を受けた風斬の左腕は半ばから捻じ切れ、脇腹もまるで踏みつけられた菓子箱のように大きく形を変えてしまっている。
それでも風斬氷華の身体はもぞりと蠢いた。
「あ、あ、ア、ぁ、あああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!?」
あまりの絶叫に流石のシェリーも驚いたようだ。
風斬へ注意を向けるようにオイルパステルを構えようとしたが風斬が千切れた腕の中も空洞だと知ると
身体についた羽虫を払うかのように手足を振り回して通路の奥に広がる闇の中へと逃げるように走っていく。
「エリス。」
シェリーが呟いてオイルパステルの表面を軽く指先で叩くとエリスは近くの支柱を殴りつけるとガゴン!!、と地下街全体が揺らぎ天井がミシミシと音を立てる。
瞬間、ライフルを構える警備員の真上に建材が崩れ勢い良く降り注いだ。
「ふん、面白い。
行くぞ、エリス。
無様で滑稽な狐を狩りに出ましょう。」
上条や麻生、生き埋めになった警備員に目も向けずシェリーは、手の中のオイルパステルをくるくる回しながらエリスを操りつつ闇の奥へと引き返す。
おそらくは風斬を追う為に。
上条はじばらく呆然と立ち尽くしていたが隣の麻生はひとり呟いた。
「まさか、風斬が虚数学区なのか・・・」
そう誰に問い掛けているのでもなく麻生は呟いた。
天上から落ちてきた建材は意外に軽く、生き埋めにされた警備員も特に怪我はなかった。
周囲に倒れている警備員も負傷こそしているものの死者は出なかった。
「全くウチの事を心配したから駆け付けたのは嬉しいじゃん。
けど、こんな危険な所まで駆けつける必要ないじゃん。」
「俺が来なかったら愛穂は最悪死んでいたかもしれないんだ。
命の恩人にその態度はないだろう。」
うっ、と言って反論が出てこない。
麻生は小さく笑うと麻生は軽く愛穂の額にデコピンとする。
「いた!
何すん・・・・あれ?」
麻生にデコピンをされるといつの間にか全身の痛みが無くなっていた。
そして愛穂のすぐ足元には消毒液や包帯などの応急処置の道具がたく
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