第十四話 消える魔球その七
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に馬である。かなり妙であった。
「御前、馬かよ」
「だってこれでいつも学校来てるから」
ナンは答えた。
「当然じゃない」
「当然か?」
「私にとってはね」
「まあそうだけれどよ」
ナンはモンゴル人である。モンゴル人は今でも馬を足としている。それならば馬での登下校も当然であった。
「ただな」
「何?」
「それでラーメン屋に行くのか」
タムタムはそれが気にかかっているのだ。
「そうだけれど」
「まあいいか」
タムタムとしても釈然としないがそれを言ってもどうにもなるものでもない。頷くことにした。
「それでな」
「ええ」
「その馬大丈夫だよな」
「スーホーはいい馬よ」
「お、その馬はスーホーっていうのか」
フランツがそれを聞いて言う。
「そうよ。賢そうな顔をしてるでしょ」
「そうだな。いい顔をしている」
「あんたより賢そうだね」
ロザリーがこう突っ込んできた。
「おい、ロザリー」
フランツはそれにすぐに抗議する。
「俺が馬鹿だっていうのか」
「ああ」
ロザリーは平然として答えた。
「この前のテストも追試まみれだったんだろ?」
「俺には追試なんて何の意味もない」
彼は言う。
「俺は野球さえできればいいんだ」
「それじゃあせめて最低限のサイン位は覚えて欲しいものだ」
タムタムはそれを聞いてポツリと言う。
「全く」
「タムタム、御前まで」
「まっ、それはいいさ。言っても仕方がないよ」
「言い出したのは御前だろ?」
「悪い悪い。それじゃあラーメンを食べにな」
「行きましょ」
ナンは馬の手綱を引きながら言う。
「早く行かないと身体が冷えるわ」
「そうだな。じゃあフランツ行こう」
「ああ。それで店は何処だ?」
「西京飯店でどうだい」
ロザリーはそう提案してきた。
「あそこは美味いし量も多いしな」
「悪くないな」
タムタムがそれに頷く。
「じゃあ俺はそこでいい」
「俺は大蒜ラーメン大盛りだ」
フランツが食べるものも決まった。
「それでまた気合を入れるぞ」
「試合終わってもかい」
「だからだ!」
いつもの熱血モードになった。
「エネルギー補給だ。食うぞ!」
「全く。食べるのにも熱くなって。まあいっか」
「行こう」
「ああ」
四人はそのままラーメン屋に向かった。夜の星空の下を歩いて行く。そしてラーメンを堪能するのであった。勝負の後の身体を安らげる為に。
消える魔球 完
2006・11・4
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