とりあえず食事から
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《風見鶏亭》は一階がレストラン、その上が宿屋という形になっている。
30分くらい前に出会ったばかりのレイトはチェックインして来ると言って、店の奥に歩いていく。その間にいつも座っている席に座って待って居ると、すぐにレイトが戻ってきた。
シリカはさっきの事を謝ろうと、口を開こうとするがレイトに手で制される。
ちょうどその時に、ウエイターが2つのカップを持ってきた。カップの中には水のようなものが注いであった。
「まずは食事してから。それ、飲んでみてくれる?できれば、感想も」
レイトに言われ、おずおずとカップの中の液体を一口すする。すると、口の中にピリッとした感触が走る。これは、現実世界でも飲んでいた・・・・
「これ、サイダーですか!?」
それを聞いてレイトがにやっと笑みを浮かべる。それが肯定だということを示していた。もう一度飲んでみるが、やはりサイダーの味だ。でも、この店のメニューは全て試してみたはずなのだが、これは飲んだことが無かった。いったいどうして・・・?
「どうやって・・・・?」
思っていたことが、口に出てしまった。そのつぶやきを聞いて、レイトが種明かしとばかりに話す。
「NPCのレストランはボトルの持込ができるんだよ。んで、それは俺の自作品だ」
「自作品?もしかして・・・?」
「そ。料理スキル持ってるからね」
「へぇー。レイトさんって料理スキル持ってたんですね」
「やってみると結構楽しいよ、毎日同じもの食べなくていいし、色々作って楽しめるし。まあ俺のスキルスロットの半分以上が非戦闘スキルなんだけど」
話を聞いてみると、このサイダーはレシピにあるものではなく、味覚再生エンジンというものを使って作ってみた物なんだそうだ。それに、こんなに簡単にほかのプレイヤーに自分のスキル構成を明かすことにも驚いた。その後も、レイトの話をいろいろ聞いていると、いつの間にかカップの中身が無くなっていた。懐かしい味だからつい飲み干してしまったようだ。久しぶりの味だったから、もう少し残しておけばよかったか・・・
「心配しなくても、もっとあるから大丈夫だぞー。ほれ」
顔に出ていたようだ。思わず顔の温度が上昇したのを感じた。その間に、レイトはアイテム欄からもう一本サイダーを取り出すと、シリカに注いでくれた。
「・・・なんで・・・あんな・・・意地悪言うのかな・・・」
ポツリと呟いたのをレイトが聞きとめると、顔に出していた笑みを戻す。
「まあ、ネトゲならある程度は許容しないとしょうがないんだけど・・・、あ、シリカはこれが初めて?」
「はい・・・」
「そっか。初めはいらっとくると思うけど、ある程度は無視したほうがいいよ?ネトゲってそういうののリスク低いから。・・・・今までは
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