双子
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一方、広人と広子の戦いはというと、これは本気の互角の戦いだった
ガキンっ!
金属バットと鎌が接触する金属音が聞こえる
「ぐっ!」
「ふっ!」
ガキンッ!
お互い一撃も当らぬまま、体力が消耗されていく。そして、時間だけが過ぎていく
「なぁ、広子、お前は特別って言われ続けてた。なぜなら、お前はどんなことでもすぐ覚え、そして忘れない、天才だったから!」
「だからどうしたっ!」
ガキンッ!
「だから俺はお前が怖かった。日本に来たら、俺の地位を奪っていきそうで怖かった。でもなぁ!俺とおまえは双子でも、俺とおまえは違う!だから、お前と戦って、勝って、けじめをつけたいんだ!わかりたいんだ!」
ガキンッ、ピシッ!
広人の一撃で、鎌にひびが入った
バキンッ!
「なっ・・・・・」
そして鎌は完全に割れた
「けじめをつけたいんだ、自分に。わかりたいんだ、君を」
そういって、広人はバットを振り上げた。広子は腰が抜けて、倒れこみ、思いっきり目を閉じた。そのとき!
カランっ・・・・
広人は、バットを捨てた
「な・・・・・何の真似だ・・・・・?」
そして、広人は手を差し伸べた
「一緒に家に帰ろう、広子。そして、沢山話して、沢山笑って、沢山遊ぼう」
広子は、差しのべられた手を払いのけ、自分で立ち上がった
「完敗だ、広人。あなたたちは本当にいい人たちだな」
そういって、広子はどこかへと行こうとした。それを、広人が呼び止めた
「おい!」
そう呼ばれた広子は、振り返らなかった。そんな広子に、広人はこう言った
「明日でも、明後日でも、ずっと先でもいい。家に帰って来いよ」
広人は、優しくそう言って、優しく笑った
広子は黙って、どこかにあるいて行った
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