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ソロモン会戦記 
ソロモンの悪夢(前)
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「無論。このケリィ・レズナー、君の援軍として此処まできた。最も、たかがサラミス型巡洋艦4隻に、君が苦戦するとは思えないがね。」

「買い被り過ぎだケリィ、私でも苦戦はするし、指揮を間違う事もある。」

 モニターの中のケリィに苦笑を返しながら、機体速度をお互い同期させ横に並ぶ、全長45mに及ぶビグロと並ぶといかなゲルググでも小さく見える。

「だが君の来援には感謝する、轡を並べて共に戦おう。しかし何故此処に?」

今日のケリィは非番の筈だったから当然の疑問である。

「非番とは言え気楽には出来んさ、連邦の本格的侵攻も近い。一刻でも早く機体に慣れねばと、志願して必訓練していた所だ」

「その通りだ、我々には時間がない。いかに高性能な機体を与えられても、使いこなせなければ意味などないからな。この様に新型同士で作戦を遂行出来るのは、僥倖と言えるかもしれないな。」

ケリィとの通信中に別回線から報告が入る。センサーで周囲の警戒を担当しているカリウスからだった。

「大尉、敵の索敵圏内に入ります。まだこちらには気付いていませんが如何いたしますか?」

「よし、カリウス、出撃の信号弾を上げよ」

 ガトーの言葉は、カリウスにとっては常識外の事であった。奇襲が作戦の正否を分けるのに、信号弾を上げるなど敵にみすみすこちらの位置を教えるだけでは無いのか?

「カリウス、お前の考えてる事は分かる。だがこの程度の作戦を、遂行出来なくて今後の戦いをどう戦うと言うのだ。我々には大義がある、正々堂々と戦い、勝とうではないか。構わぬから信号弾をあげよ!」


 カリウス機の肩から信号弾が打ち上がる。その光は天高く駆け登り、ガトー達を見下ろす遙か高みで弾けた。広がる青い光がガトー達を蒼く染め抜く。

 青3号弾。我ガ軍の命運、コノ一戦二有り。
奮励を促すジオン共通の発光信号である。
多くの兵がこの光の下で戦ってきた。荒れ狂うルウムの海
。ヨーロッパの森林。アフリカの大地で、そして今、ソロモンの海で

やがて光は消えた。だが彼らの中ではまだ輝き続けている
これから死地に向かう彼らの中、でその光は己を奮い立たせる源となろう。

「・・・後は行くのみ!」

ガトーの指示の元、各機が最大戦速で加速する。彼らの熱い信念を機体に託して。
遮るものは何もいない、只突き進むのみである。
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