十話
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」
「あ、ああああああああああ!」
我先にと逃げ出した。しかし、怒りに染まったカカシがそれを見過ごすはずもなく。腕に宿す雷を持って、敵の命を刈り取った。その時、カカシの写輪眼には三つ目の巴紋様が浮かび上がっていた。
逃げ出した敵を討った後、カカシはリンの元へ戻った。しかし、時既に遅く……
「リン……」
呼吸音も、心音も聞こえない。リンは、死んだのだ。
先ほどまでははれていたというのに、突如雨が空から降り注ぐ。カカシは顔が濡れるのも構わず空を見上げ、これ幸いとばかりに雨に乗じて涙を流した。
「と、まぁこんなことがあったわけだ」
「………………」
突如として話されたカカシの過去は想像以上に重く、サスケはすぐに言葉を発することが出来なかった。
「ま、そんなわけだから。サスケ……復讐がしたいというお前の気持ちも分かる。だが、俺は復讐のためではなく、仲間を守るためにこそ力をつけて欲しい」
「っ! 俺が身に付けた力を俺がどう使おうと俺の勝手だ。だが……」
悪態をついてさっていくサスケの背を、カカシは困ったような顔で見つめていた。だが、その顔はすぐに笑顔へと変わる。なぜなら、サスケが悪態に続いて呟いた言葉が聞こえていたからだ。
「ありがとう、サスケ」
サスケはこう言った。
――――俺だって、もう大切な奴等を失うのはごめんだ
と。
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