十話
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カカシは敵が突如として行った仲間殺しを、冷や汗をかきながら眺めていた。明らかに、相手は錯乱している。こうなっては、何をしでかすか分かったものではない。残された敵の後衛二名も、突然の状況の変化に付いていけず、茫然としている。
「分かってる。分かってるぜ。俺はもう助からねえ……だからよ」
クナイを持った左腕で抱えていたカカシの仲間を地面へと放る男。そして、カカシは男から漏れだす殺気を感じ取ると同時に、駆けだしていた。
「こいつを、道連れにしていいよなぁ!」
振り下ろされるクナイ、駆けるカカシ。両者の競争は、タッチの差でカカシが勝利する。だが、その勝利は……
「そうくると思ったぜ!」
すべて敵によって仕組まれたものだった。
男はカカシが絶対に仲間を見捨てないであろうことを見越し、わざとあんな見え見えの行動をしてみせたのだ。写輪眼は未来を視る。だが、万能ではない。
仲間を救うのに精一杯であったカカシには、相手の虚を見抜く余裕は無かったのだ。
(ちく、しょう)
クナイが迫る。写輪眼によってゆっくりと動くそれが、逆にこの自体が避けられないのだという事実を突き付けてくる。せめて、仲間だけはとカカシは腕の中の仲間を強く抱きしめ瞳を閉じた。
だが、来るはずの痛みは一向に来ず、やってきたのは……
「大丈夫、だった……? カカシ」
弱弱しいリンの声と、頬を濡らす生温かい液体の感触。
「リ、ン?」
「よか、ったぁ……」
胸に突き刺さるクナイが抜け落ち、リンの体が力なく地面へと倒れ伏す。確認するまでもない。リンはカカシを守り、倒れたのだ。
「リン……リン! りぃいいいいいん!!」
少女を抱き上げ名前を呼ぶも、返ってくるのは不規則かつ弱弱しい呼吸音のみ。悲しみにくれる”カカシ”とは対照に、”忍”としての冷戦な面がリンはもう助からないと告げている。
彼女を殺したのは自分。また、自分は救えず……そして、友との約束も破ってしまった。
「邪魔しやがって! 今度こそ!」
イタチの最後っ屁という奴なのか、リンを刺した男は鋭い動きでカカシへと接敵し、クナイを振り下ろす。
だが、そのクナイは無造作に振り上げられたカカシの右手の平で受け止められた。刃が肉を切り裂き、血が流れ出るもカカシは一切動じることなく、受け止めた刃を強く握り締める。
「死ネ」
「な……?」
正に一瞬。カカシの左腕に何時の間にか形成されていた千鳥が、男の首をはね飛ばした。
「次は……お前達だ」
今の今まで動くことすらできていなかった敵の後衛二人が、カカシに睨まれたことでビクリと体を振わせる。そして、
「う、うわああああああああ!
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