十話
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」
前後から襲いかかる二人の攻撃をかわし、正面の敵の腹に蹴りを叩きこむ。続いて後衛の敵の腕をからめ捕り、大きく投げ飛ばす。こうしてできた相手との距離。それを詰められる前に、カカシは術を発動する。
――――千鳥!
カカシの右手に青き雷が灯り、まるで千の鳥がさえずる様な音が周囲に響き渡る。
「あの術は、不味いぞ!」
右腕に宿る高濃度のチャクラに術の威力を悟ったのか、相手の警戒がより一層強まる。だが、その程度はこの術の前では無意味。カカシは全速力で相手めがけて疾走を開始する。
「はっ! 馬鹿が!」
カカシのスピードはこれまでのものを遥かに上回っている。だが、それはもろ刃の剣。それほどのスピードを出しては、相手の動きに対応することが出来ない。そして相手はかなりの実力者。例えどれだけ速かろうと、見えているのならばカウンターぐらい合わせることが出来る。
「これで終わりだ!」
だが、忘れてはいけない。はたけカカシの左目は……
「馬鹿! やめろ!」
未来を見通す瞳であることを!
「ぐっ、ああああああああ!」
相手の動きを写輪眼で読んだカカシは自身の軌道を修正。カウンターに対してカウンターを決める形で千鳥を相手に叩きこむ。
命中した千鳥は相手の右腕を切り飛ばすだけにはとどまらず、脇腹をも深く抉りとった。
(よし!)
今相手に与えた傷は確実に致命傷だ。これで、数の上では三対三。一対一なら負けは無いと可我の実力差を判断しているカカシにとっては、この成果は非常に大きい。これで、仲間を助け自らも生き残るという道が現実的なものと成ってきた。
希望の光に、思わずマスクの下で笑みが浮かぶ。だが、不幸というものは、得てして幸運の最中にやってくるものでもあるのだ。
「ふざけんじゃねえ……ふざけんじゃねえぞぉ!」
振り向いたカカシの目に映ったのは、首にクナイを突き付けられた仲間の姿だった。
「おい、何をしてるんだ! 止めろ!」
男は焦っていた。仲間が明らかな致命傷を負わされたこともそうだが、それ以上にその仲間が暴走していることにだ。元々、この男は自尊心が強く扱い難い男だった。それでも忍としてはそこそこ優秀であったためチームを組んでいたのだ。
(まさかこんなことになるとは!)
人質まで連れ出して、一体なにをしようと言うのか。すぐにでも、この男を止めなければ。そう思い、男に近づいて行った男に待っていたのは……
「な、に……?」
黒刃のきらめきと、首筋に走る鋭い痛み。そして、自身から吹き出しているのだろうどす黒い血だった。
「邪魔してんじゃねえぞ、こらぁ!」
(まずいな……)
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