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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
運命の夜、閉幕
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 月夜の戦い。

 剣も矢も効かぬ相手に魔術でダメージを通したフェンサー。
 過去の英雄であったなら、刀剣での戦いの他に魔術を識る者もいただろう。
 神話に語られる時代、指先一つ動かすだけで地形を変えるほどの魔術を扱う魔者も存在したのだから。

 しかし彼女が撃ち放った魔術は明らかに異常だ。

 現代の魔術師でも行使可能なレベルではある。が、それを一工程と一小節、ただの一言の詠唱と腕の一振りで発動させるなど常軌を逸している。

 だがそんな傷などなかったかのように、バーサーカーは大剣を振るい続ける。

 フェンサーも異常といえば異常だが、この狂戦士の頑強さは度を越している。
 家一軒吹き飛ばすどころか地を穿ちかねない大魔術に晒されながら、片脚を火傷した程度で済んでいるのだ。

 恐らく、バーサーカーを守っているのは己が肉体の強度ではなく、桁違いの魔力で編まれた『法則』による不死身性。
 初めて出会ったあの黒いサーヴァントにほとんどの魔術が雲散霧消したように、この黒い巨人も何らかの概念によって保護されている……!

「矢は無視しなさい。どうせリンとアーチャーじゃ貴方の宝具を越えられないんだから。先にセイバーとフェンサーを潰しましょう」

 ダメージは確かに通っているが、それは相手にとって軽傷でしかない。
 戦闘続行に支障がなければ、痛みを恐れない狂戦士が止まるはずもなかった。

Blitz Shot(雷撃), Phalanx(殲滅射撃) Ignition(一斉掃射)!! 」

 バーサーカーを周囲まるごと焼き払うかのように雷撃を見舞うが、やはりまるで意に介さない。
 凛が放つBランクに匹敵する宝石魔術も功を奏さず、もはやマスター側からの援護は無意味に等しい。

「■■■■■■■■■────!!」

 雄叫びを上げながら狂風が吹き荒れる。
 
 セイバーと切り結びながら、十三合目を数えた剣撃の後、俺の雷撃に紛れて接近したフェンサーがバーサーカーの側面を取った。

Zerstorung(砕けろ)──」

 再び一工程一小節で放たれる極大魔術。

 景色が歪んで見えるほどの超高熱を一瞬で発生させ、その炎塊をバーサーカーに直撃させた。
 その熱量は計り知れず、直撃を受けたバーサーカーの足元のアスファルトは赤熱し溶解している。

 さすがに無視できないダメージと爆裂時の衝撃に圧され、あの巨人が一瞬の硬直を見せた。
 
 その隙を見逃さず、セイバーの斬撃が打ち込まれる。

 電柱も軽く斬り飛ばすであろう剣撃を三度その身に受けて、未だバーサーカーは健在。
 核さえ耐え切りそうな防御性能にも驚きだが、真に恐るべきは既にフェンサーの初撃によって受けた傷が回復し始めていること。
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