第七話 郵便局強盗と白井さん
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らしく、しばらくして黄泉川さんがもう一度こちらを見たときには、何故か厳しい視線を向けられたのである。
事情聴取も一通り終わり帰り始めている人も居る中で、まだお金も下ろせてないし通帳も戻ってきていないので、俺はカウンターの椅子に座ったまま待っていた。
「ちょっと聴きたいことがあるじゃん」
「あ……はい」
声を掛けてきたのは黄泉川さんだ。やはり通帳に何か不審な点があったのだろうか、黄泉川さんは俺の通帳を持っていた。
「こいつについての事なんだが、どうやって作ったじゃん?」
通帳をひらひらと振りながら尋ねてくる黄泉川さん。
「どうやってと言われましても、俺はちょっと特別待遇らしくて学園都市側が作ってくれていたので……」
さて、こんなことを言ってしまっても良かったのだろうか。しかし、俺のケータイは電池切れで、暗部用のケータイは土御門さんたちと一緒に車の中、今は土御門さんと連絡が取れない状態で、特にうまく言いくるめられるような嘘も思いつかなかったので、とっさの判断で言ってしまったのだ。まぁ、ケータイの電池が切れてなかったとしても、今の状況で土御門さんに「どう説明したらいい?」とケータイで聞くわけにはいかないだろう。
「特別待遇? ちょっと身分証明書を見せるじゃん」
「はい」
黄泉川さんに言われて俺は身分証明書を出した。
「ちょっと待っとくじゃん」
身分証明書を少しの間見ていた黄泉川さんは、そのまま郵便局の外へ出て行ってしまった。
「本当に見るだけだったのか……」
恐らく黄泉川さんは俺の身分証明書から、バンクのデータを照合しに行ったのだろう。俺のバンクのデータがどのようになっているのかは分からないが、アンダーラインで聞いているのならアレイスターさんが何とかしてくれているに違いない。してくれてなかったとしても、特別待遇でもバンク上では一般生徒と同じようにしか登録されてません、といった言い訳ぐらいなら出来るだろう。
それほど待つということもなく、ほどほどの時間で黄泉川さんは戻ってきた。
「特別待遇というのは理解したじゃん。そしてこの通帳も返すじゃん。郵便局には私のほうから説明しとくじゃん」
「……あ、はい。ありがとうございます」
黄泉川さんが俺の思っていた以上に「じゃん」を連発するので、あっけに取られていた俺は一瞬の間を空けてお礼を言った。
それからしばらく待っていると郵便局員がやってきて、下ろした現金と通帳を渡してくれる。そして、カードを作るよう促されたので手続きを済ませ、カードは後日発送されるということで郵便局での用事が全て終わった。
俺が郵便局を出るとちょうど土御門さんが歩いてきたところだった。
「大変だったにゃー」
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