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八条学園騒動記
第七十話 喫茶店においてその二
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「いよいよここにあの二人が来るんだけれど」
「そうだね」
 ピーターも彼女のその言葉に真顔で応える。
「いよいよだよね、本当に」
「さて、どうなるかしら」
 二人だけではない。皆の関心はそこにあった。ここにいる皆の関心は。
「ネロとアロアの話じゃもう決まってるって言うけれど」
「いや、安心はできないよ」
 ここでピーターは釘を刺してきた。
「それでもね。やっぱり何が起こるかわからないから」
「最後の最後までね」
「そう、告白してそれではいが出るまで」
 そもそも今回のデートがそうなることが目的なのである。カムイに彼女を作らせるということが。その為にこうした話になると狂ったかのように騒ぎだす洪童を遠くへやったのである。そうした周到さも全ては彼の為なのである。
「終わりじゃないから」
「わかってるわ。だからよ」
 ウェンディも真剣な顔になった。
「私達が皆でここにスタンバっているんじゃない」
「そうだよ。だから最後まで気を抜かない」
 ピーターは念を押してきた。
「それでいいね」
「ええ。けれど遅いわね」
 ウェンディは店の壁にかけてある時計を見て言う。大きな古時計であった。それこそ百年は動いているような時計である。
「そろそろだと思うけれど」
「確か並木道にいたのが」
 ペリーヌも時計を見て言う。
「あの時間だったらそろそろだと思うけれど」
「事故とかに遭ったとかじゃないよね」
 ジミーはふと不安を覚えた。
「だったら」
「それを考えるのはまだ早いわ」
 それはプリシラが打ち消す。
「まだね」
「何かあったら私もいるし」
 アンジェレッタもここにいた。
「大丈夫よ。死んでもいない限り治るから、私の薬でね」
「また薬持って来てるの」
 ペリーヌはアンジェレッタの言葉を聞いて少し呆れた顔になった。
「私はいつも持ってるじゃない」
「いや、それでも」
 ペリーヌは言うのだった。
「薬局みたいに持ってるから。しかもいつもバッグやポケットからわんさか出て来るし」
「そんなに持ってる気はしないけれど」
「持ってるわよ」
 アンジェレッタに対して突っ込みを入れる。
「それもかなりね」
「そうかしら」
「まあ。それで何かあれば本当に頼りになるからいいけれど」
 それは事実なので受け入れた。
「それにしても。やっぱり遅いわね」
 ペリーヌも時計を見て思う。
「何かあったのかしら」
「さあ。あっ」
 ここで下を見ていたベッカが声をあげた。そして皆に顔を向けて言う。
「来たよ」
「あの二人が!?」
「うん、何ともないよ」
 こうも言う。
「全然。けれどそれにしては遅かったよね」
「少し様子を見ましょう」
 ウェンディはこう提案してきた。
「まずはね。それで何が
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