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八条学園騒動記
第五十九話 兄その四
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うから」
「そう、よかった」
「あれ、よかったって」
「彰子ちゃん、何かあるの?」
「兄さんはね」
 彰子は楽しそうに皆に対して言うのだった。
「私と明香に料理を教えてくれた人なのよ」
「へっ!?」
「御二人に」
「大したことではありません」
 驚く皆に謙虚に述べる貫之だった。
「二人共私なぞよりずっと」
「凄くお料理上手いの」
 だが妹がその兄の横で言うのだった。
「だから皆期待して」
「そういえば」
 ここで皆気付いた。
「このお店の料理は」
「はい」
 貫之は彼等の言葉に応えてきた。
「私が作らせて頂いています」
「そうだったんですか」
「成程」
 皆それを聞いてしきりに頷くのだった。それには理由があった。
「お兄さんがだったんですか」
「これはかなり」
「御気に召されたでしょうか」
 貫之はそう皆に対して問うた。
「はい、それもかなり」
「美味しいわよね」
「有り難い御言葉です。それでは」
 彼は皆の言葉を聞いてさらに機嫌をよくさせた。そうしてまた言うのだった。
「次は私が特別に無料で作らせて頂きましょう」
「おい小式君」
 貫之の今の言葉を聞いて店の奥から声がしてきた。
「それはちょっと困るよ」
「あっ、店長」
 やたらとガタイのいい顎鬚を生やした男がやって来た。エプロンが実によく似合っている。彼がその店長であるようだ。
「そんなこといきなり言われても困るよ」
「申し訳ありません」
「そういうことはわしに許可をもらってくれよ」
 そのうえでこう言うのだった。
「いいね」
「許可ってことは」
「まさか」
「いいぞ」
 笑って述べてくる店長であった。
「今日はかなり儲かっているしな。どうぞどうぞだ」
「わかりました。それでは」
 貫之は一礼してからまた述べた。
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