第百六十話 何時か星の海へ
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第百六十話 何時か星の海へ
遂に原種を完全に倒したロンド=ベルは地球に向かっていた。その途中でアステロイドベルトにあるイカロス基地で休息を取っていた。
命はふと目を覚ました。そこは。
「ここは?」
「気がついたか、命」
目を開けるとそこには凱がいた。優しい顔で彼女の顔を覗き込んでいた。
「ここはイカロス基地の医療施設だよ」
「イカロスの?」
「ああ」
凱はにこりと笑って頷く。
「そうさ、イカロスさ」
「私はあの作戦の後で?」
「ああ」
凱はその優しい笑みで頷いてきた。
「気を失ってな。だいぶ疲れがたまっていたようだな」
「そうだったの。御免なさい」
「いいさ、あれだけの戦いがあったから」
やはり包み込むような声だった。命はその声にほだかされて言ってきた。
「ねえ、凱」
「何だ?」
「あれから・・・・・・EI−01が地球へ来てからもう三年も経つんだね」
「そうだな」
凱はその言葉に頷く。
「長かったな」
「そうね」
「だけどゾンダーの悪夢は終わったんだ」
凱はそこまで語ったうえでまた言う。
「今度こそ本当に」
「うん」
命もそれに頷く。気付けば彼女も優しい顔になっていた。
「地球へ帰るとギャレオリア彗星が見られるよ。八年振りの大接近だそうだ」
「そうね。私思い出したわ」
「何をだい?」
凱は命に問う。
「宇宙飛行士になるっていう凱の夢。あの彗星を見ながら聞いたんだよ」
「そう言えば選抜試験の時にもらったんだよな、このロケット」
胸にあるロケットを取り出して命に見せる。
「俺がここまで無事でいられたのもこのお守りのおかげだ」
「ううん」
しかし命はここで首を横に振ってきた。
「私の方こそ凱が帰ってきてくれたから生きる勇気を取り戻せた」
「有り難う、命」
「それでね、凱」
命はまた言う。
「これから先もずっと傍にいていいかな」
「えっ!?」
「私、もう帰る場所はないから」
凱の方を見て言う。彼女はゾンダーにより家族を全て失っているのだ。
「だから」
「命、いいんだな」
「ええ、一緒にね。ねえ」
ここで凱に握られている自分の左手に気付く。
「凱の手、あったかい」
「えっ、でも俺の手は」
「ううん、伝わったくるよ」
優しい顔で凱に対して言う。
「宇宙で一番の温もりが」
二人きりの時間を過ごす。長い戦いを経て結ばれた絆を確かめながら。大河はこの時基地の司令室でモニター越しにミスマル司令と話をしていた。
「御苦労様でした、大河長官」
まずはミスマル司令がこう言う。
「ロンド=ベルの活躍と獅子王博士という尊い犠牲により」
大河もそれに応えて述べる。
「木星の原種殲滅に成功しました」
「ザルク、ネオ=ジオン、ティターンズ、
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