第40話
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ラレータ》にとって致命的とも言える。
計算能力を失えば「向き」の操作をする事が出来なくなってしまう。
「まぁ、問題ないだろうさ?
どうにもならない事をどうにかするのが僕の信条でね?
彼の言語機能と計算能力は必ず取り戻す、必ずだ。」
桔梗の考えている事に気づいたのか、彼はいつものふざけた語尾上がりとは違いはっきりと桔梗に言った。
「キミの能力で治すの?」
「まさか、俺はそんな事はしない。
あの傷はあいつがこれまでに犯してきた罪を形にしたようなモノだろ。
もし俺が治すといってもあいつは断ると思うぜ。」
じゃあどうやって、と桔梗は考えようとして彼は言った。
「一万人の脳、つまりミサカネットワークにリンクさせれば一人分の言語や演算くらい余裕で補う事もできるだろうからね?
ああ、あとガラス容器に入っていた女の子の事だけどあの子の事なら心配ないよ。
ウチにも似たような子を預かっているからね。」
「けれど、ミサカネットワークは同じ脳波を持つ者だけで作られるものなのよ。
波長の違う一方通行が無理にログインすれば彼の脳が焼き切れてしまう。」
「ならば、双方の波長が合うように変換機を用意すれば良いね?」
彼は変然とした顔で言う。
桔梗は改めて思い知らされた。
彼が患者を救う為なら何でもするその覚悟を。
「さて、桔梗。
お前はこれからどうする?」
「どうしようかしらね。
この分だと実験は凍結じゃあなくなって完全に中止でしょうしね。」
桔梗はさほど困り果てたような表情を浮かべずに逆に少し笑みを浮かべながら言った。
それを見た麻生も小さく笑う。
「なら、手始めに退院したあいつらの先生にでもなったらどうだ?
あいつらには「常識」の「じ」も知らなさそうだしな。」
それを聞いた桔梗は一瞬だけ驚いたような表情をするが小さく微笑んだ。
「そうね、それもいいかもしれないわね。」
「それには早く傷を治さないとな。」
「あら、キミが治してはくれないの?」
「お前は今日までずっと研究室にこもっていたんだろう?
だったらちょうどいい機会だからゆっくりと身体を休めておけ。
退院したら研究者よりも疲れる仕事が待っているんだからな。」
「キミは手伝ってくれる?」
桔梗の問いかけに麻生は困ったような表情をしてから小さくため息を吐いた。
「気が乗ったらな。」
ただその一言を聞いた桔梗は小さく微笑んで目を閉じた。
それを確認した麻生と医者は手術室から出て行く。
麻生は医者とは違い私服で手術室に入っていた。
本来なら許される事ではないし何より部外者が勝手に入っていい所ではない。
だが、医者が
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