第40話
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なかった。
「答えるとすればわたしはその思考パターンが嫌いだった。
一度でいいから甘いのではなく優しい行動をとってみたいって。
信じられないでしょうけど、わたしはねこんな研究者になんてなりたくなかったの。」
彼女のその才能を知るからこそ、天井はその言葉に驚愕した。
「わたしがまだ研究者になりたてのころにね、親を通じて「外」から一人の男の子がわたしの所にやってきたの。
その子はこの世の全てに絶望してそれはもう凄い状態だったのよ。
なにせ、元の黒髪が白髪に変わるくらい絶望してたのだから。
何とかその子は生きる気力を取り戻したけどそれでも世界や他の人間を軽蔑するような目をしていた。
その時ほどわたしは教師になりたいと思ったわ。
この子の為に世界は、人はまだ貴方の思うようなモノじゃないと。」
結局なれなかったけど、と桔梗は力なく笑いながら言った。
そして互いの距離は一メートルにまで近づくと桔梗は片膝をついて地面に座り込む天井に目線を合わせる。
「きっと、まだ未練が残っていたのでしょうね。
わたしは一度で良いから甘いのではなく優しい事をしてみたかった。
たった一人の・・・いいえ、たった二人のために奔走するような先生のような、そんな行動を示したかっただけよ。」
二人の銃口がそれぞれの胸へ押し付けられる。
「終わりよ、天井亜雄。
一人で死ぬのが恐いでしょう、ならば道連れはわたしを選びなさい。
子供達に手を出す事だけは、私が絶対に許さない。
この身に宿る、ただ一度の優しさに賭けて。」
それを聞いた天井はふん、と笑った。
「やはり、お前に「優しさ」は似合わない。
お前のそれは、もはや「強さ」だよ。」
胸を打つ銃声は二つ。
身体を突き抜けた弾丸が、天井と桔梗、それぞれの背中から飛び出した。
二つの銃声が響いた後、何台かの黒いワゴン車がやってきて桔梗の乗ってきたステーションワゴンの近くで止まる。
その中からサブマシンガンを持ち特殊部隊のような装甲服に覆面を被った人が何人も降りてくる。
その数、十五人。
彼らの任務はここにいる筈の最終信号の回収、及びそれに関わった人物の処理だった。
周りに人がいない事は調査済み、救急車のサイレンが聞こえるがそれが此処に到着する前に処理、回収すればいい話だった。
情報では一方通行は能力を使用できないほどの重体だと聞いている。
能力の使えない一方通行などただの学生、彼らは簡単な仕事だと思っていた。
彼らは天井、桔梗、そして桔梗の腕を掴みながら倒れている一方通行に近づこうとした。
次の瞬間、どこから飛んできたのか覆面の彼ら
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