第38話
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が出来る事は二つ。
一つは街の中に潜伏している犯人・天井亜雄を捕えてウィルスの仕組みを吐かせる事。
もう一つは起動前のウィルスを抱えた最終信号を保護する事。
好きな方を選びなさいな、もっともキミは守るより壊す方が得意でしょうけれど。」
封筒はテーブルの上を滑り一方通行の前で停止する。
左の封筒には天井亜雄の車が映った写真と赤い印がされた地図。
右の封筒にはデータスティックと超薄型の電子ブックのような物が出てきた。
データスティックには「検体番号二〇〇〇一号・人格要綱/感染前」と書かれたラベルが貼ってある。
どちらが一方通行に向いているかなど考えるまでもない。
一方通行は誰かを守るより何かを壊す方に優れている。
いやそれはもはや論理以前に概念の問題だ。
彼の力では誰も救えないし、彼の世界とはそういうものなのだ。
もし一方通行がその力で誰かを救うおうものなら、それは彼の取り巻く常識そのものが崩壊する。
それはもう「一方通行」という存在とは違う、人を救う一方通行など一方通行ではない。
「まァ、そォだよなァ。
どっちを取りゃイイかなンざ誰でも分かンじゃねェか。」
一方通行は自嘲するように口の中で呟く。
人を救うなどその役目に相応しい人間ならいくらでもいる。
その席はどこも満席で一方通行が入り込む余地などない。
一方通行の力が人を救う事に向いていないというならば、一方通行の力が殺す事に向いているというのならば。
一方通行は一瞬だけ、誰かの顔を思い浮かべた。
「ハッ、蔑めクソガキ。
どォせ俺にャァこっちしか選べねェよ。」
右の封筒を一方通行は選んだ。
打ち止めと呼ばれる一人の人造少女を保護する為に。
この瞬間、一方通行は一方通行でなくなった。
一方通行としての存在意義の全てを失ったと言っても良い。
「笑えよ。
どォやら俺は、この期に及ンでまだ救いが欲しいみてェだぜ。」
「ええ、それはそれは大いに笑って差し上げましょう。
キミの中にまだそんな感情が残っているとすれば、それは笑みをもって祝福すべき事よ。
だから安心して証明なさいな、キミの力は大切な誰かを守れるという事を。」
「俺はオマエ達、研究者のために働く。
だからそれに見合った報酬は用意してもらうぜ。」
「ええ、あの子の肉体
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