第百五十四話 セフィーロ
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「私だってまだなんですよ、全然」
「いいことだ」
ナタルはその言葉を聞いて微笑みを浮かべてきた。
「そうではないとな。女の子は貞節であるべきだ」
「男はどうなんですか?」
「それはだ」
ナタルはさらに言う。
「女の子から声をかけられてようやくはいと答える位の。そうした謙虚さが必要だ」
「じゃあキースさんは」
「大尉は自然にだ」
そう答える。
「助けられたのもあるが。それはつまりだ」
また言葉の歯切れが悪くなる。
「どうにもな。積極的に声をかけられるというのも悪くはないものだ」
「矛盾しません?それって」
「そうですよね」
その道に詳しくないどころか全く無知のアクアとゼオラは首を傾げる。なおこれはナタルも同じである。
「そうか。しかしそれでも」
「何だかんだでキースさんが好きなんですね」
アラドが不用意に言った。
「ナタルさんも。何だ」
「何だではない」
狼狽した声で彼に返す。
「私は別にだな。その、つまり」
また焦りだしてきた。
「大尉とは何もない。一緒に歩いたりお話をしたりしているだけだ」
「はあ」
「不純なことは何もないぞ。これは誓ってもいい」
「わかりました。ですが」
「ですが。何だ?」
ここでゼオラに言われてふと我に返る。
「そろそろラーディッシュに戻らなくていいんですか?」
「むっ」
言われてそれに気付く。
「出撃は近いですし」
「そうだった。迂闊だった」
冷静さを取り戻してそう述べる。
「済まない。それでは」
「はい。それで大尉とは何時ですか?」
「何時とは何がだ?」
アクアの言葉にふと顔を向ける。
「ですから式ですよ。やっぱり結婚されるのですね」
「け、結婚だと!?」
また様子がおかしくなる。
「するんですよね、何かそんな感じですけれど」
「いや、待て」
かなり焦った様子で彼女に応える。
「私はそこまでは考えてはいない。それにだ、それに」
仕草まで焦ったものになっている。その仕草で言うのだ。
「今は戦争中だし。それが終わったら考えたいなというのは考えているが。それでもキース・・・・・・いや大尉には大尉の事情があるだろうし大体子供は多く欲しいし」
聞かれていないことまで勝手に話しだす。この話がまたしてもロンド=ベル中に伝わりナタルの立場がまた悪くなったのは言うまでもない。
そんなナタルの立場をさらに悪くさせている間も木星に向かっての出撃準備は進む。既に大河を中心として話はかなりまとまっていた。
「これで全ては整った」
彼は作戦会議の場で言ってきた。
「後は出撃だけだ」
「わかりました」
ミサトが真剣な顔でそれに頷く。
「それではいよいよですね」
「そうだな。それでは諸君」
「はい」
ミサトだけでなくそこにいた全ての者がそれに
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