第百五十四話 セフィーロ
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であった。
「お母様」
「ノヴァか」
巨大な影の如き女がピンクの髪の少女の声に応えていた。
「また戦争があったわ」
「そうか」
女はその言葉を聞き楽しそうに笑っていた。
「それは何よりだ」
「けれど戦っていたのは光だけじゃなかったわ」
その少女ノヴァはまた母に語った。
「何か地上から来ているみたい」
「地上から」
女はその言葉に耳を澄ませてきた。
「それはまことか」
「ええ。だから」
「わかった」
女はそこまで聞いてまた頷いた。
「では手を打とう」
「私達に手を貸してくれるあの人達と一緒に戦うのね」
「そうだ。それでよいな」
「ええ」
闇から一人の女がすっと現われた。それはミッテであった。
「それで。いいわ」
「ふむ。ところでだ」
女はミッテに問うてきた。
「そなた達もまた地上から来たのだったな」
「そうよ」
ミッテは悠然とした笑みで女に返した。
「それが何か」
「あの魔神の力によるものか」
ミッテを見てまた問うてきた。
「やはり」
「そう思えるのね」
「そうとしか思えぬ」
それが女の答えであった。
「違うというのなら申してみよ」
「いえ、その通りよ」
ミッテはその笑みのまま女に答えた。
「まさか私達までとは思わなかったけれど」
「これも何かの縁であろう。それではだ」
「彼等を倒すのに力を貸して欲しいのね」
「左様。よいか」
ミッテを見ていた。まるで彼女の心の中を探るようにだ。
「それで」
「最初からそのつもりよ」
ミッテは彼女の問いに何か含みのある笑みで答えてきた。
「だから喜んで」
「うむ。それでは次に動こう」
女は言った。
「次にな」
「デボネアお母様、それじゃあ」
ノヴァが動くと聞いて無邪気な笑顔で母に声をかけてきた。
「光、今度で殺していいのね」
「うむ」
女も笑う声でそれに返した。
「頼むぞ。それでは」
「うん、絶対そうするから」
ノヴァもまた笑顔で頷く。
「今度こそ」
ノヴァの目がまるで猫のそれのようになった。そこには無邪気な悪意が感じられた。それを光に向けて楽しんでいたのであった。まるで無垢な少女のようにだ。
第百五十五話完
2007・4・1
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