説明とシステム
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くは解らないのですが、カーディナルが予定にない命令をわたしに下したのです。プレイヤーに対する一切の干渉禁止……。具体的な接触が許されない状況で、わたしはやむなくプレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けました。状態は……最悪と言っていいものでした……。ほとんど全てのプレイヤーは恐怖、絶望、怒りといった負の感情に常時支配され、時として狂気に陥る人すらいました。わたしはそんな人たちの心をずっと見続けてきました。本来であればすぐにでもそのプレイヤーのもとに赴き、話を聞き、問題を解決しなくてはならない……しかしプレイヤーにこちらから接触することはできない……。義務だけがあり権利のない矛盾した状況のなか、わたしは徐々にエラーを蓄積させ、崩壊していきました……」
俺たちは何も言えない中ユイの独白が続く
「ある日、いつものようにモニターしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメーターを持つ三人のプレイヤーに気付きました。喜び……安らぎ……でもそれだけじゃない……。この感情はなんだろう、そう思ってわたしはその三人のモニターを続けました。会話や行動に触れるたび、わたしの中に不思議な欲求が生まれました。そんなルーチンはなかったはずなのですが……。あの三人のそばに行きたい……直接、わたしと話をしてほしい……。すこしでも近くにいたくて、わたしは毎日、三人のうち二人の暮らすプレイヤーホームから一番近いシステムコンソールで実体化し、彷徨いました。その頃にはもうわたしはかなり壊れてしまっていたのだと思います」
「それが、あの二十ニ層の森なの……?」
「はい。キリトさん、アスナさん、リンさん……わたし、ずっと、お三方に……会いたかった……。森の中で、お三方の姿を見た時……すごく、嬉しかった……。おかしいですよね、そんなこと、思えるはずないのに……。わたし、ただの、プログラムなのに……」
「システムだ、人間だなんて関係ない……」
俺は口を開く、過去の後悔と反省を考えながら
「そうやって自分で考えて、行動できるならシステムだろうが関係ない。ユイは俺の立派な妹だ」
「そうだよ。ユイちゃん。ユイちゃんは……わたしたちは家族でしょ?」
「そうだぞ、ユイ」
俺たち三人の言葉でユイは目を丸くしていたが、しばらくすると嬉しそうに微笑んだが、それにはどこか寂しさが混じっていた
「リンさん……キリトさん……アスナさん……ありがとうございます……家族なんて言ってもらって……すごく嬉しいです」
俺たちはユイにつられて微笑むが次の言葉で困惑したような顔に変わる
「でも……もう……遅いんです」
「なんでだよ……遅いって……」
「わたしが記憶を取り戻したのは……あの石に接触したせいなんです」
ユイは部屋の中央
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