第百五十三話 宇宙の渦
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「それでも貴女はまだ」
「エマ大尉だったわね、今は」
「ええ」
「貴女はもうわかっている筈よ」
そう彼女に告げる。
「女には何が必要か」
「そう。だから貴女は」
「そうよ。だから私は」
傷だらけのパラス=アテネの中で言う。
「まだ戦う。まだ」
「そう。じゃあ終わらせてあげるわ」
エマはそれに応える形でビームサーベルを構えてきた。
「これでね。いいわね」
「そう簡単にやられるつもりはないわ」
レコアもビームサーベルを構えてきた。
「私だって」
「いいわね」
エマはそのレコアに対して問うた。
「これで終わりよ」
「そうかもね。けれど」
それも彼女は立っていた。そのまま前に出る。
「私も女だから。まだ!」
「女であること。それはいいわ」
エマはそれは認める。
「けれどそれに執着しては何も見えないのよ!」
レコアのビームサーベルを切り払った。返す刀で上から下に一閃させた。パラス=アテネはそのまま黄色い雷を放って動きを止めたのであった。
「ああ・・・・・・」
「爆発はしないわ」
エマはそうレコアに告げる。
「ゆっくり考えて、レコア」
「ゆっくりと」
「そうよ。何が見えるのかね」
「私には何が」
「それも考えるのよ」
またレコアに告げた。
「これから。いいわね」
「・・・・・・今はまだ無理ね」
エマの問いには少し苦笑いになった。
「残念だけれど」
「そう。じゃあ落ち着くといいわ」
エマは今度はこう述べてきた。
「時間はあるから」
レコアもまた戦いを終えた。そしてカツとサラの戦いも今クライマックスを迎えようとしていた。
素早い動きを見せるサラのボリノーク=サマーンだったがカツは遂に切り札を全て切ってきた。ファンネルを一斉に放ってきたのだ。
「これで駄目なら!」
カツはファンネルを放ちながら言う。
「どうなるかわからない!けれど!」
カツはそれでもあえて切った。そのうえで叫んでいた。
「サラ!君はまだ!」
そのままボリノーク=サマーンに攻撃を浴びせる。その動きはサラですら見切れず次々に攻撃を受けた。彼女も遂に戦うことができなくなったのだった。
「うう・・・・・・」
「サラ、もう終わりなんだ」
カツは動きを止めたサラにそう声をかける。
「この戦いは。だから」
「けれど私は」
しかし彼女は動かなくなったボリノーク=サマーンの中で言う。
「パプテマス様の為に」
「それもわかっている筈なんだ」
カツはまた彼女に言う。
「シロッコは君を」
「けれど私はそれでも」
「駄目だ、よく考えるんだ」
またサラに声をかける。
「君はもっと素晴らしい人達に会える。だから」
「だから?」
「生きるんだ。いいね」
「生きればいいのね」
カツのその言葉に顔を向けてきた。
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