第百五十三話 宇宙の渦
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た。
「そこで色々と見させてもらう」
「貴族主義以外のものもな」
「そうかい、悪くはないね」
ライラはそんな彼等の考えも認めた。
「考えながらね。見たらいいさ」
「うむ」
「何かと見たいものもあるしな」
「ファラはどうなるんだ?」
ヤザンが彼女の名前を出してきた。
「姿を見ねえが」
「恋人のところに行った」
クロノクルが答えた。
「これからは一人の女として生きるそうだ」
「そうか。案外似合いそうだな」
「私は地球に行ってみたい」
クロノクルの考えはこうだった。
「あちこちを旅してな。私もそうして考えたい」
「あんたもか」
ジェリドはそれを聞いて言った。
「皆同じだな」
「そりゃそうさ。誰だって今はそうさ」
ライラが彼に述べる。
「あれこれとね。自分自身にだって」
「彼女もそうね」
マウアーがふと口に誰かを出してきた。
「彼女も私達と同じで」
「ああ、あいつはどうなるんだ?」
ヤザンがそれに応えて言う。
「軍にも入らないみたいだけれどよ」
「故郷に帰ると言っている」
クロノクルが彼の言葉に答えた。
「もう二度と軍には戻らないそうだ」
「それもいいかもね」
ライラは何故かそのことに妙に安心していた。
「あの娘は本当は戦場に出るべきじゃなかったんだよ」
「そうなのか」
「そうさ。かえってね」
カテジナを評してこう言った。
「その方がね。だからそれから戻って」
「よかったってわけか」
「ああ。まあ元に戻ってよくはなるね」
「だといいがな」
「あたしは戦場にいる方がいいがね」
「御前はそうかも知れないな」
ヤザンがそれに頷く。
「俺もそうだがな」
「猫と一緒にか」
「家族もできたってのがな。嬉しくもあるがな」
ジェリドに応える。
「まあそれは戦場に出てからさ。今はのんびりさせてもらうか」
「そうだな。暫くはな」
「考える時間も必要ってわけだ」
彼等はとりあえずは急速に入った。カテジナは彼等とは別に故郷に戻っていた。
「お客様」
宇宙船の中にいると船員が彼女に声をかけてきた。
「はい」
「もうすぐですが宜しいですね」
「はい」
その言葉にこくりと頷く。
「それではこのまま」
「わかりました。それでは」
そのまま降りる準備に入る。その時ふと宇宙を見た。
「戦いが終われば。元に戻れるかしら」
戦いを終えた彼女はもう軍人ではなかった。その心は戦場にはなかった。元のカテジナ=ルースに戻ろうとしていたのであった。カテジナも戦場から去った。一つの戦いがまた終わったのであった。
第百五十三話完
2007・3・26
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