第百五十三話 宇宙の渦
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
見ていた貴様はな」
「それは御前も同じではなかったのか」
シロッコはハマーンに対して問うた。
「ハマーン=カーン、御前も」
「さっきのカミーユの言葉だ」
ハマーンはその問いにこう返してきた。
「人は変われる。だから私も」
「馬鹿な・・・・・・貴様が」
「誰もが変われるのだ。それを見なかった貴様は所詮そこまでだった、それだけのことだ」
「ここで・・・・・・私がここで」
「シロッコ、まだ何かするつもりか」
「うう・・・・・・」
カミーユの精神を道連れにしようとする。だがそれを果たすには今の彼の心はあまりにも大きかった。それによっても彼は自らの卑小さを感じずにいられなかった。
「世界は・・・・・・私のものにならぬか」
「誰のものでもないんだよ!世界は!」
カミーユは断末魔の彼にそう告げた。
「それがわからなかったのが貴様の全てだ!」
「ふふふ、そうか」
カミーユのその言葉に笑みを浮かべてきた。
「むっ!?」
「そうかもな。では私は今からそれを確かめに行く」
死を浮かべながらも微笑んでいた。
「果たしてそうなのかをな。それではな」
ジ=オUはカミーユから離れた。そのままゆっくりと宇宙に落ちていく。遠く離れた場所で爆発が起こった。パプテマス=シロッコも遂に倒れたのであった。
「これで・・・・・・終わりなんだ」
「見事だ、少年」
ハマーンが彼に告げてきた。
「その心、見せてもらった」
「ハマーン、あんたも変わったんだな」
「私とて変わるさ」
微かであるが笑みを浮かべたように見えた。
「人なのだからな」
「そうか。そうだよな」
ハマーンのその言葉に頷く。
「人間は誰だって変われるんだ」
「それを御前達に教えられた」
ハマーンはこうも言う。
「誰もがな。そうなれると」
頑なだったハマーンの心もまた同じだった。彼女はその心でカミーユに語り掛けていたのだ。
「しかしだ。残念だ」
ここですっとほんの一瞬だが寂しげな微笑みになった。
「残念?」
「御前の側にはもう誰かがいる。あの坊やにもな」
「ハマーン、あんたはひょっとして」
「ふふふ、気にするな」
笑ってその言葉を打ち消した。
「何でもない。いいな」
「ああ。じゃあ戻るか」
ハマーンに帰還を促した。
「これで」
「そうだな。これで戦いは終わりだ」
ハマーンもそれに頷く。
「それではな」
「帰ったらミネバに料理を作るのか?」
ふとこう尋ねてきた。
「やっぱり」
「駄目か?私が料理を作ると」
「いや、別に」
彼はシンとは違う。言わなくていいことを言ったりはしない。
「いいと思うさ。何か女の子らしくてな」
「女の子か」
「といってもあんたには似合わない言葉だろうけれど」
「別にいい」
意外にもその言葉を受け入れ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ