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人狼と雷狼竜
修行と……
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限界が来たらしい。
「え? あ、すみませんつい。でも、そろそろヴォルちゃんが個別に教えてくれるんですよね? なら丁度良いじゃないですか?」
「確かにそうですけど、切り上げるなら仰って下さい。私、夏空さんと競ってたつもりだったんですから」
 梓の拗ねたような言葉に夏空はまあ、と驚いた。
「そうだったんですか? それは済みません。それで、結果はどうでした?」
「夏空さんが切り上げる前までは同点ですね。私の矢と夏空さんの砲弾では範囲が違いすぎますから、当てた的の数だけで数えてましたから」
「成る程、梓ちゃんもやりますね?」
「夏空さんこそ……」
 夏空は無邪気な笑みを、梓は少し挑戦的な笑みを浮かべた。
「次は勝ちます!」
「あら? お姉さんもまだ負けませんよ〜?」
 と、互いにライバル意識を剥き出しにする。梓は挑戦的な笑みをより強くしおり、夏空は無邪気な笑顔ながらも、対抗心が雰囲気として出ていた。
「コレが好敵手(ライバル)……」
「もう二人とも、競争するのは良いけど、喧嘩しちゃダメだよ?」
「だよ〜」
 小冬や神無が二人を嗜める中で、ヴォルフは梓と夏空が張り合う相手がいることによって、技術の向上が早まるのでは? と何となく予感した。
「ヴォルフ〜。持って来たぞ〜!」
 と、正太郎が新たな武器を持ってこちらに向かって来ていた。
 正太郎が持っているのは槍だ。そしてその背には、半身を丸々覆い隠せるほどの大きな楯が背負われている。
「まずは構えてみろ」
 正太郎が近くまで来たところでヴォルフは言い、正太郎は頷くと槍と楯を構えようとし……楯を取り落とした。
「うお!?」
 大きな楯がガランと音を立てて地面に転がる。正太郎は取り落とした時には既に距離を取っていた為に足の上に落とすという、最悪の結果を招かずには済んだようだ。落としていたら、骨折では済まないだろう。
「……まずは素早く、確実に構えられるように訓練するんだ。それを確実に自分の物にしてから次に進む」
「え? マジで!?」
「当たり前だ。槍使いの基本は守り。目の前に大型が迫ってくる中で確実に構えなければならない。出来なければ死ぬだけだ」
「う……分かったよ」
 ヴォルフの言葉に正太郎は渋々と距離を取り、構えたり収めたり……を繰り返し始める。
「各自、もう一度元の訓練を再開してくれ。まずは何処まで出来るかを確認する」
「はーい」
「うん。わかった」
「もう一度勝負しましょう?」
「はい〜」
 神無と椿は素直に訓練に向かい、夏空と梓は訓練を通り越して勝負事に発展しまずは的の設置に向かった。
「……」
「……」
 そして、じっとヴォルフを見上げる小冬だけが残った。
「どうした?」
 ヴォルフの問いに対し小冬が答えたのは、予想も付かない言葉だっ
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