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人狼と雷狼竜
修行と……
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 当の本人は太刀を取られた事に気付かなかったようで、大袈裟に驚いた。
「ちょ!? 何だよ? 訓練が出来ねえじゃん。それとも何か良い見本でも見せてくれんのか?」
「お前は槍を使え」
 ヴォルフはついでに取った鞘に太刀を収めながら言い放った。
 ヴォルフの言葉に正太郎だけじゃなく、話を聞いていたらしい他の面々にも驚愕が走った。
「え? な、何で?」
「お前の突き≠ヘ見事な水平を描き、僅かな狂いも無い。故に槍だ」
「まっ、マジで?」
 正太郎は信じられないとでも言うような顔でヴォルフに詰め寄る。
 ヴォルフが見た正太郎の放つ突きは一分の狂いも無く鋭く、正確に、標的を文字通りに貫いていた。
「存分に生かせるように鍛えてやる。早く装備を持って来い」
「おうよ!」
 正太郎が訓練用武器庫へと脱兎の如く駆け出していくのを尻目に、ヴォルフは訓練を止めている他の面々をみやると、小冬が近付いてきた。
「アイツ、そんなに才能あったの?」
「才能かどうかは知らん。だが、見込みの無い剣術よりはマシだ」
「……やっぱり、アイツに剣はダメだったのね」
 小冬が溜息混じりに呟くように言った。
「知っていたのか?」
「ううん。なんとなくそう思ってた」
 小冬の言葉に、ヴォルフは彼女には直感か観察力の何れかに優れているのかもしれないと思った。
「で、アイツは大成しそう?」
「奴次第だ」
「そうなのヴォル君?」
 訓練を止めて近付いて来た神無が尋ねて来た。
「どんな時も実るのは積み重ねてきた時間だ。訓練次第だ。怠れば身に付かない。付け焼刃など無いに等しい」
「……ヴォルフさんは、訓練してきたの〜?」
 おずおずと、椿が話し掛けてきた。眼鏡の奥の目は少し不安げに揺れており、緊張しているようにヴォルフには見えた。
「俺の剣は全て鍛錬に鍛錬を重ね、数多くの実戦を得て形にした物だ。生き抜く為には必要だった。怠っていれば死んでいた」
 そういえば椿と話すのは初めてだったなとヴォルフは思った。
 椿はそんなことを話すヴォルフを見て息を飲んだ。人狼と呼ばれる彼を形作っていた物は『強くなりたい』という壮絶なまでの思いそのものだと思い知った気がした。
「それでこうなったんですか? (やすり)みたいな掌です〜」
 いつの間にか近くに来ていた夏空がヴォルフの手を取って、その掌を自身の掌で擦っていた。
「何をしているんだ夏空?」
「ヴォルちゃんの掌を診てるんです。剣を握り続けるとこんなになっちゃうんですか……」
 何処か悲しげに言う夏空だが……
「ちょっと!? 訓練するんじゃなかったんですか!?」
 真面目に一人真面目に取り組んでいた梓が来て文句を言う。彼女はヴォルフの回りに人が集まりつつも、最後まで弓を射ていたようだったが、流石に我慢の
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