修行と……
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を持たない。個人的な感情で断るのは気が引けるし、神無達に助けられた恩を裏切るのは流儀に反する。
本人達もその気だ。駆け出しの初級ハンターとはいえ、修羅場はくぐって来たようだ。そのやる気が大型とやりあうまで持てばいいのだが……とヴォルフは思った。
「良いだろう。ただし、手を抜く気は無い。覚悟は良いな?」
ヴォルフは集まった面々を気を込めた視線で見やる。
その狩猟者の目に約二名を除いた全員が怖気付くが、それでも全員が大きく頷いた。
「いいだろう。まずは……」
「着替えようねヴォル君?」
「む?」
ヴォルフが自分の言葉を遮った神無を不思議そうな顔で見る。
「それは部屋着なんだから訓練で汚しちゃダメですよう!」
今度は夏空からの抗議が来た。
「着替えなら用意したわ。更衣室に置いてあるから着替えて来て」
小冬が呆れたように溜息交じりで言った。更衣室はあっちと、休憩所も兼ねた建物を指差している。
「……」
出鼻を挫かれたヴォルフは溜息混じりに休憩所に入っていった。
小冬が笑いを堪え、神無が嗜める声が聞こえたが最早気にならなかった。
休憩所や男子更衣室には誰も居なかった。ただ、更衣室の机の上に、綺麗に折り畳まれた衣服が置かれていた。その隣には草で編まれた編み笠と革靴が置かれている。
ジンオウガとの戦闘で破損した服と同じものだ。どうやら、ヴォルフのサイズに合う物があったらしく、融通を利かせて貰ったようだ。
ヴォルフは着物を脱ぐとそれを一つずつ着用していく。
新品らしく、一つ一つの感触に硬さがあった。それは昨日まで来ていたものと同じだったが、それでも着ていく内に柔らかく慣れていくだろう。
着替え終わったヴォルフが外に出てみれば、それぞれが自主訓練に励んでいた。
神無は片手剣の基本の型を振るい、夏空とは火砲を的に向けて放ち、小冬は両手に握られた剣をイメージした敵を相手に振るい、梓は夏空と同じように弓を的へ向けて射ち、椿はハンマーで岩を叩き、正太郎は太刀を素振りしていた。
基本中の基本の訓練は自主訓練に任せれば良い者が殆どと言えた。
特に夏空と梓は上手い。固定標的なら外す事が無いだろう。移動標的に対しては試してみないと分からないが、初級としては十分だった。
神無と小冬は未熟な面が目立った。特に小冬は体術がまだ不完全だ。二刀流という全身をフルに使う闘法である以上、機動力は必要不可欠だ。
それは片手剣を使う神無にも言える事だ。如何に楯があろうと防げない物は防げない。小さな危険回避や細かい事に有効だが、岩や大型種の体当たりなどの大きな物は避けるしかないからだ。
椿は細腕に似合わない見事な怪力と、それを制御する技術が評価できる。力任せに振るう以上、いい加減な狙いになりかねないハンマーを的確に打ち込ん
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