修行と……
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?」
「決まってるだろ!? お前を超える! その為にはまず、お前に追いつく!」
「なら諦めろ。俺はハンターであって教師じゃない。自力で何とかするんだな」
「何でだよ!?」
ここまで言ってまだ食い下がるか。
「15年だ」
「は?」
正太郎だけではなく周りの者達まで唖然とする。
「少なくとも15年。俺は今までの人生を実戦と鍛錬に費やしてきた。休憩代わりに書物を読み、それなりの知識を学んできた。それが俺の今までの生き方だ」
俺の言葉に正太郎の顔が驚愕のまま凍り付いていた。
俺の剣は、書物にある型をまずは鍛錬で身体に覚え込ませた上でモンスターとの数多くの実戦を得て、ようやく今の形にまで昇華した物だ。書物から剣を学んだとはいえ、実質的には我流に等しい。
「それだけの年月を費やして、ようやく今の俺がある。お前にそれが出来るか?」
勉学に勤しむ時間を割いても肉体造りから始めなければならない上、奴は今まで人生をどのように過ごしてきた? 俺とは違う。人の輪の中で生きてきた者が、死と隣り合わせの剣技だけに全てを掛ける等、出来やしない。
そう、都会の温室育ちがハンターを志し、最初の獲物と定めたモノに逆に殺されるか、今までとは全く違う環境に疲れて辞める、このパターンと同じようなものだ。
「つまりはそういうことだ」
「じゃあ、アンタと組めば話は違ってくるわね?」
立ち去ろうとする俺を引き止める者がいた。小冬だ。聞いていたのか……もとい、俺と組むだと?
「アンタが私達に自分の剣を教えられないことは言われるまでも無い。私達とアンタじゃ何もかもが違う」
「確かに」
小冬の言葉を梓と呼ばれた、赤みがかった茶色の長い髪の女が答える。
「でもアンタは私達を個別に鍛え、多人数での戦い方を教えることは出来る。誰に何が向いていて、誰に何が出来なくて、何処をどうすれば技をより強力に繰り出せるか、より効率的な運用方法とか、アンタは山のように知っている筈。今までの人生を通して、ね?」
成る程。何も俺の剣を教えるのではなく個々の今の戦闘力を、より強力な物にする為に力を貸せと言いたい訳か。
そして、こいつらは俺と違って単独ではない。一個の部隊として機能させることが出来る。ならば個人の戦闘力よりも複数であることを生かした集団戦の方がより効率性が増す。
「凄腕のハンターも、時として一頭の大物ではなく群れで動く小物に討ち取られる。それは『数の差』という、純粋な力に敗れたから。ならやることは一つでしょ?」
小冬があの挑戦的な顔でニヤリと微笑んでくる。その目が言っていた。「アンタにはそんな事すらも分からないの?」と。
下らん挑発だな。だが、小冬の言葉に俺は納得していた。俺と同等まで鍛えるのは不可能でも、集団戦で通じる程度まで鍛えるのなら少ない時間で
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