第六話 決断
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Side フェイト
私が目を覚ますとそこは”また”自分の知らない場所だった。
また、というのは今日だけでも知らない場所で起きることになるのがこれでもう二回目なのだ。
もしかしたら焦りすぎてるのかもしれないだけど……
「母さんが……待ってるもんね」
そう、私のデバイスであるバルディッシュに話しかける。
母さんの笑顔が見たい、母さんに褒められたい。そんな一心で始めたジュエルシードの捜索。だからこそ、これで止める訳にはいかない。
「とりあえず……。ここは何処なんだろう?」
分かることはこの部屋の持ち主に私は助けられたということと、ここが知らない部屋だということだけだろうか?
家主に悪いと思いながらも何か手がかりがないかと部屋の中を探っていると、お茶碗と一枚の紙を見つけた。
【マンションに帰ってきた所、倒れていて熱もあるようだったので部屋に運びました】
そのように男の人の文字だけれども、丁寧な字でそう書いてあった。
少なくとも悪い人じゃないんだろう。私がそう思いたいだけかもしれないけど……。
助けてもらったのに逃げ出すわけにはいかないので、扉を開け隣の部屋に入ることにする。
そこに居たのは、さっき私を助けてくれた人。本人からは聞けていないけれど、確か名前は……青崎大地だったと思う。
気は引けるが、私は彼を揺すり起こすことにする。
「ん……。もう起きたのか……」
大きな欠伸とともに発された彼の第一声は、呑気そうなそんな言葉だった。
Side 大地
本心としてはもう少し惰眠を貪っていたかったのだが、テスタロッサに揺すり起こされたので仕方なく俺は起きることにする。
「そういやお粥、食ってくれたか?」
元々料理をするのが嫌いというわけでもなく(正しくは出費の関係上、自炊をするしかなかったのだが……)現在一人暮らし進行中の俺にとっては他人に自分の作ったものを食べてもらうというのは結構嬉しかったりする。
と自分勝手に話を進めてしまったが、よく見るとテスタロッサはまだ中身の入った茶碗を持っていた。
「あー、悪い。ゆっくりでもいいからそれ食べて、出来れば感想とかくれないか?」
「えっ? ……ありがとう」
驚いてるところを見るとあのお粥が自分に向けて作られたものとは思ってなかったのだろうか……?
どんな印象を受けてるかどうかは知らないが、少なくとも病人の前でウマそうにお粥を食べたり、毒入りの食べ物を出すなんてイメージは受けてないよな……?
よくわからないショックに打ちひしがれている俺をしりめに、テスタロッサは目の前にあるテーブルに着きお粥を食べ始める。
物が食べられるようなので、もう体調は大体大丈夫なのだろう。
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