§23 叢雲古老恵那委員会、あとしまつ
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「いらないよ。大体僕が漁ったのだってあの人達がお前んトコのレアモノを持ち出してた時の為なんすけど。”鏡”みたいなもんが消滅したらマズいっしょ? 有用そうなのほとんどねーぞ」
倒した奴の物は黎斗の物、といい渋る須佐之男命に黎斗は返却の意思を伝える。ただでさえ整理整頓が苦手なのにいきなり武器防具合わせて三桁近い装備を入手してしまったのだ。これを全部貰ってしまったら武具の海に埋もれてしまう。黎斗の技量では影の中に収納するにしても限界がある。しかももうすぐ限界を迎えるのだから割と事態は深刻だ。須佐之男命の館の武具保管部屋もそろそろ満杯だし。
「だいたい……へ? それどころじゃない? 護堂に……はぁ!?」
護堂にバレた。とりあえず黙っていてもらうようにお願いしたけど、ごめん。要約すればそういうことだ。
「……」
予想外の事態に沈黙した黎斗は呆然と近づいてくる護堂を見る。もう表情が見えるくらいにまで接近していた。
「れーとさんどしたの?」
恵那の呼びかけに思考が復活する。ここで呆然としているわけにはいかない。合流する前にこっちの話は終わらせなければ。須佐之男命と歓談している、と考えてくれているであろう恵那と違い、護堂達はそうは受け取らないだろう。この話が聞かれるのは不味い。
「スサノオ、貸し一つ、ね。覚悟しろよ…… 媛さんと坊さんにもそう伝えといて」
「れーとさん、顔怖いよ……」
青ざめた表情で後ずさる恵那と暗い表情で嗤う黎斗。あまりにも似合わないその笑い方。
「……どーせマスターの事です。くだらないですよ。それよりマスター、服のお腹の辺りが破れてますよ」
「おっと、そうだったそうだった」
恵那に気付かれなかったのは運が良かった。この近辺は匂いが酷くなっており、嗅覚が役立たない事が幸いしたか。自身の肉片が泥にまみれ一目で肉とわからないことも味方した。
「燃えろや燃えろー」
陽気な黎斗の声と共に付近の土を燃やしていく。念のため、この一帯すべてから肉片+αを消滅させる。
「れ、れーとさんなにやらかしてるの!?」
慌てる恵那。当然だろう、下手をすれば大火事だ。だがこちらには会心の言い訳がある。秋、という季節しか使えない究極の切り札。本当は土日に近所の児童ホームでやろうと思っていたのだが、ここでやってもまぁ、さほど問題はあるまい。
「ん? 事件解決したし焼き芋でも焼こうかと」
「……!!」
数秒後、倒れ伏す黎斗と鞘でぶんなぐるエルがそこにいた。鞘ごと相棒を強奪された恵那が目を丸くしている。口に咥えた一閃は、それはもう見事なものだった。
「黒、だね。」
「黎斗さんは神殺しだと?」
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